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「IH対応」の意味と真相に無限に振り回されてる

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これから引っ越す新居(中古物件)のコンロがIHなので、調理器具をIH対応に一新せねばならなくなってる。

「鍋底に磁石がくっつけばIH対応」という簡易な判別方法を嫁が知っていたので今ある調理器具の振り分け自体はもう済んだが、おれはまだ素朴な疑問があった。
底だけ磁石にくっついて使えるっつっても、側面にくっつかないやつは正直、熱伝導効率が悪いのでは?

・・・

調べ始めたら眠れなくなった……

お前はIHの仕組みをちゃんと知っているか?

使ってない人からすると「なんか電気であっためてる」以外あんまり知らない人が多いんじゃないか?

簡単に言うと「鍋に電流を流して電気抵抗で鍋自体を熱くしてる」。簡単じゃない?ならよく聞け。今からおれは理科の話をする。

①まず、IHのコンロの下にはごっついコイルがいっぱいある。電線をぐるぐる巻きにしたやつだ。小学校の理科とかでやっただろ?あれのゴツい版だ。

こんな感じらしい。
出典:https://review.kakaku.com/review/K0000940716/ReviewCD=1041370/ImageID=358395/

②これは小学校理科の話だ。
コイルに電気を流すと磁力が発生する
筒に電線を100回ぐらいぐるぐる巻きつけて作ったコイルの中に、鉄の棒を入れて、コイルに電気を流したら棒に釘がいっぱいくっついた!コイルが磁石になった!みたいな実験、小学校の理科とかでやっただろ?あれだ。

こういうの

③逆に、コイルの中に棒の磁石を入れて、素早く出し入れするとコイルの方に電流が流れた!動かすたびに豆電球が点く!みたいな実験もしなかったか?してない?多分これも小学校の理科の範疇だったよね?

こういうの

とにかく、導体に電気を流すとその周囲に磁力が発生したり、逆に導体の近くで磁力を発生させて動かしたりすると電気が流れたりするって話だ。
これが電磁誘導だ。電磁誘導っていう言葉が出たのは中学理科だ。たぶん…

この分野にとてもくわしいひとへ:電流とか磁束とか磁界とか磁場とか用語の使い方の正しさについては全然考えてないけど言いたいことは分かると思うからゆるしてください。おれはりかけいのおとこではない。

④この話は小学校の理科の範疇かどうか忘れたが、②の実験では鉄の棒の中にも電気が流れてる。これは渦電流うずでんりゅうと呼ばれる。
(おれは最初これを誘導電流のことだと思ったが、どうやら誘導電流の中でも金属の板とかの中で渦巻き状に流れる電流のことを特に渦電流うずでんりゅうと呼ぶらしい。読みは「かでんりゅう」ではない)

⑤IHの話に戻る。IHのコンロの下にあるコイルに電気を流すと、強力な磁場が発生する。
その上に金属製の鍋を置くと、コイルの発生させた磁場が金属鍋の中を通ることで、電磁誘導により金属鍋の中に渦電流が発生する

⑥この渦電流が金属鍋の中を流れる際の電気抵抗によって熱が発生する

電気抵抗であっためるって?

電気ストーブとかトースターとかと同じ。こたつもそうか。ドライヤーもか。いっぱいあるな。
電気抵抗の大きい金属素材に無理やり電気を流そうとすると、ものすごいパワーが必要になる。で、まあ無理やり通すんだけど、そのときにものすごいパワーが熱として周囲に放出されるんだね。
これはジュール熱って言います。中学か高校の理科で習う。それで我々はあったまります。

IHもそれと同じことを鍋でしてる。渦電流が発生させるジュール熱で鍋があったまる。

つまり、IHに使う鍋の性能としては

鍋全体の電気抵抗が大きい方が、消費電力は上がるだろうけどその分だけジュール熱も高くなり火力も出る、という理屈になるはずだよね…?

ここで「IH対応」にぶつかる

理科の話終わり。やっと本題に入ります。

世間で「IH対応」と謳われている鍋、実際には底にIC対応のステンレスの板を貼っつけただけのアルミ鍋が結構ある。多層鍋って言うらしい。

アルミは電気抵抗が少ないので、IHではほとんどあったまりません。

底に貼ったステンレス板だけをIHであっためて、その熱を単なる熱伝導でアルミに移す…というのは、素人が理屈で考える限りではあんまり効率がいいとは言えないように思える…
アルミ、熱伝導率がめっちゃいいからステンレスの熱さもすぐ移りそうに思えるが、実際には外の空気にも触れているのだからすぐ放熱しちゃってなかなかあったまらないのでは…

実際、「IHは火力が低い」「底しかあったまらなくて焼きムラがある」みたいな不評は結構聞くんだけど、一方で「IHはガス火より遥かに高火力」っていう真逆の意見もよく聞く。これって要は鍋次第なんじゃねーの?

ステンレスにも種類があって泣きそう

さっきからステンレスって書いてるけど実はこれも一筋縄ではいかず、実際にはIHに対応した、つまりコイルで渦電流が発生して電気抵抗の大きいステンレスじゃないといけない。

鉄にクロムやニッケルを混ぜて錆びにくくしたのがステンレス鋼。でもニッケルが混ざるとなんか磁石にくっつかなくなるしIHも非対応になるみたい。
ニッケル自体はめちゃくちゃ磁石にくっつくのに鉄と混ぜるとダメになるみたい。この辺の理屈はおれの頭では結局分からなかったから誰か詳しい人がいたら教えてくれ。

IHに対応してるのは鉄とクロムだけを混ぜてニッケルが0のステンレス。例えばステンレス18-0とかがそうらしい(クロムが18%、ニッケルが0%の意味)

で、結局どうすればいいんだ?

まだ引っ越してないので実地検証による結論が出せないし、理屈の上でも結局何がベターなのかよく分かってない。

とにかくネットの記事が全然アテにならない。
グーグルに引っ掛かるのはIHの理屈を説明してる科学的記事か、特に根拠なくおすすめ鍋を紹介してるアフィブログかだけで、
両方の視点+実際の調査に基づいていい感じの鍋の種類・材質・構造とかを説明してくれるサイトが全然出てこない。

でもそんな中で数少ない、参考になりそうなのはこの辺とか↓

https://www.seiken.server-shared.com/tyousakenshubu/denji-tyouriki-taiounabe.pdf

全面ステンレス18-8(クロム18%、ニッケル8%)が湯沸かし最速!?ま!?

整理しよう

さっきニッケルが混ざったステンレスやアルミはIH対応してないと書いたな。あれは嘘だ。
いや全くの嘘ではないんだけど、今は家電メーカーの企業努力によってそういう金属でもIHに無理やり対応させているらしい。調べた限りでは純粋に消費電力を爆上げしてコイルも激強にして力づくでジュール熱を発生させるっぽい。電力効率は良くないと思われるが、上記実験でもステンレス18-8がIHに対応してるのはそういう理由だ。

意外とステンレス18-8が強い

ただ、実験結果を見るにステンレス18-8は電力効率も良いんだよな…消費電力は実際ぶっちぎりトップだけど、湯沸かし速度もトップなので結果的に時間単位での消費電力は少ないみたい。
とにかく一瞬で水を沸騰させたいだけのやかんとかなら、ステンレス18-8はアリなのかもしれない……?

調理に使う分には、鍋が熱くなる速さよりも保温性とか温度調整の利きやすさ、電力効率、耐久性メンテ性etcを重視すべきだと思うので、そうなると良さげな材質は……やっぱりステンレス18-0とか?でも18-0だと錆に弱そう……ホーローも悪くはなさそうか……?

材質以前に底の形状が大事

アルミ鍋の底にステンレス板貼った多層鍋がやっぱり全然ダメそうなのは予想通りとして、それ以外は底面の大きさとかIHとの距離の近さが重要そうだね。
0.1mm単位でコンロとの距離が離れるだけで熱効率がだいぶ悪くなってるように見える。鍋の材質・構造より先に、完璧に真っ平らで大きい底面を選ぶのがまずは前提っぽい。

そもそもこれは安物鍋の調査

なので高品質で高価な鍋でも同じかどうかは分からない。
うちにIH対応のティファールのフライパンが複数あって、新居でも使うつもりなんだけど、典型的な底板ステンレスの本体アルミの多層鍋っぽいんだよな…ティファール結構高いのでこれで熱効率微妙だったら泣きます。

まとめ!

  • IHは電磁誘導で鍋自体に電気を流してジュール熱であっためてるよ!

  • 電気抵抗がデカい材質の方が高火力になると思うけど実際の調査だとそう単純な話でもなさそう!

  • 底面だけステンレスで本体アルミの多層鍋は微妙そう!

  • 材質も大事だけどその前に鍋底が平らで大きいのが重要だよ!

調べてたらどんどん沼にハマったって記事だったのに、それを書くのにもめっちゃ時間かかった!
とにかくネットに分かりやすい解説が無かった!下手したらこの記事がそうなってしまうかもしれない…

続き↓

カフェラテかミルクティー買います いや、カフェラテの方がカラテが高まりそうなのでカフェラテにします