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【詩】1人の時間〜#虎吉の毎月note〜

青い朝の中にポツンと立っている
日の光の届く前
夜明けの庭

朝露に濡れた足元を見ている時もある
色を変え始める空を見ている時もある

水やりというルーティン
ホースを引き出し
蛇口をひねる前までの
わずかな時間

何かをしているようでしていない
何かを考えているようで考えていない

せわしない日常の中で
人は一人の時間を切望する
隙間時間にせっせと己を作る

例えば私なら
刺繍してベーキングして
ガーデニングして読書して
なんなら映画鑑賞(ぶつ切りの連続で)して
アニメをまとめて再生したりして

あれもこれもそれも
そうして自分のために
何かを形作ることで満足を得る
思考し、想像し、そこから創作する
自分の価値を、存在意義をそこに見出す

正しい判断だと思うし
賢明な処置だと思う

だけどそれ以上に

青い朝の中にポツンと立っていると
己という尺度などどうでも良くなる

何者でもない私
どこにも属さない時間
手放して揺蕩たゆた
ただ青に染まって
ただ青に抱かれて
ひとしずくの朝露が瞬く合間

それだけは
音を立てて流れていく毎日の中で
私だけのもの
誰にも譲れない時間
私にとっての
本当に一人の時間
私が私として生まれ変わり
私としてまた微笑み始める瞬間

だから今日も
青い朝の中にポツンと立っている
花と私と空と
明日も明後日も


あまりシリアスなのもなんですし
大好きなテーマ”刹那”ですから
ドラマチックなアプローチを試みました。
春〜秋の私の大切な時間について。
詩作、楽しかったです。
虎ちゃん、ありがとうございました!

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