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箱に詰まった気配と「いただきます」

こんばんは!!!!!(勢い)
こないだの水曜日の話を!急いで!!書きます!!

あの、ぼちぼち書こう〜…と思ってたら「や、書くんやったらこれ、24時間以内に読んでもらったほうがええのでは!?」 ってことに気づき、めっちゃ急いで書いてます。誤字脱字とか、変な表現とか、あるかも。でもだいじに話すから、5分、いや10分ください。

・・・

こないだの水曜日、とある倉庫で、
段ボールにいろんなものを詰めた。

実家からの仕送り? クリスマスプレゼント? 防災グッズの非常食?どれも、ちょっとあってて、ちょっとちがう。

仕送り的で、贈りものでもあって、非常事態ではあるけれど、実家からではなく、クリスマスだけじゃなくて、災害ではない。これは、10〜20代のみんなへ送る食糧支援。1箱、30食分。これが1000箱分、できるならもっと、必要な状況がある。



さかのぼること、2週間ほど。

昔からの友人「イマイ君」から、SOSの連絡が届いた。
「もしいま余裕があれば、助けてほしい。でも、無理ない程度に…!」

SOSの内容は、『困窮状態にあり、なおかつ家族に頼ることが難しい10代前半〜20代前半への食糧支援』。そしてメッセージには、寄付を募るクラウドファンディングのURLがついていた。

イマイ君はここ10年以上、この活動を続けてる。年々、この活動のサポートを受ける登録者は増えてるんだけど、ここ最近の物価高騰、加えて “年末年始のあれこれ” で、ぜんっぜん支援が間に合っていないんだ、と。

“年末年始のあれこれ” 。なんだろう?
と聞いてみると、なるほどだった。

年末年始ってのは、私にとっては「おやすみだー、やった〜」。だけど、イマイ君たちがサポートする子どもや若者にとっては「やった〜」とは言えない。公的機関や商業施設など、相談したり寒さをしのいだりするための要素や場所が、軒並み休みに入るため、「孤立とたたかう9連休」なんだとか。

そんな中でイマイ君は、『食糧支援+LINEでの直接相談やりとり+ユースセンター※ 』のためのサポートを、クラウドファンディングを通して募っているところだった。

(※ユースセンター:道頓堀のグリコ下、通称「グリ下」付近にある若者たち向けのセーフティネット。休んだり、ごはん食べたり、ちょっと眠ったりできる場所)


私も昔、かたちは違えど、こういったサポートに助けてもらったことがある。私の友人が、イマイ君の活動に助けられたこともある。
うむ。今度は私が助ける番だ。助けたい……んですけど。

なぜか、支援のボタンを押す手が、重い。
なんだこれ???


その理由を知りたくて、私はイマイ君に連絡した。

「みんなの迷惑にならん範囲で、近々、ユースセンターか食糧支援の現場、見にいくとかできひんかな? 何か手伝えたら…」

「もちろん!」とイマイ君からのお返事。食料を詰め合わせて郵送する倉庫におじゃますることになった。誰かを助けたいからなんて立派な理由じゃない。まずは私が、知りたいからである。いろんなことを知れば、私のクリックする手が重い理由もわかるかもしれないな、と思った。

……そんな理由なので、ここで書くことは、「大変なんです、助けてください!」っていうスタイルを選んでおりませぬ。いや、大変は大変なんだけど、そのあたりはイマイ君たちが正しい表現で、日頃からいっぱい伝えていて。ぽっと出のわたしが叫べる話じゃなくて。

だから、私と同じように、知らない人が「へー、そうなのか!」「知れてよかったな」ってくらいのことを書いてみる。で、それが伝わって、ちょっと一緒に考える仲間がいてくれたら、うれしいです。…ぐらいのテンションです。


まずですね。

私、食糧支援って、決まったセットをドドーッと詰め合わせて送ってるのかと思ってた。だって毎週、すんごい量を送っていくらしいんだもん。

それがですね、こんなかんじで、一人ひとりに紙があった。

で、この画像の上んとこに『基本』って書いてる欄、ここにはだいたい、『基本』『お湯のみ』『常温』のどれかが書いてあるわけ。

『基本』は、まあ、その字のとおり基本的なセット。レンジであっためたり、鍋で茹でたり、ちょっと調理の手を加えて食べられるものたち。ラインナップはこんな感じ。パスタ、うどん、そばの分類名は「麺類」。イワシ缶やさば缶の分類名は「缶詰」。ソイジョイの分類名は、「ソイジョイ」です。

で、『お湯のみ』は、調理はできないけどお湯はいけるよ(沸かすための環境はあるよ)ってこと。フリーズドライのお味噌汁とか、袋ごとあっためる系のカレーとか。お、「生姜サムゲタン」入ってる。私も大好き、この商品。めっちゃあったまるよね。

ほんで私が、ははーん!ってなったのが『常温』のセット。

「なんで常温? 猫舌……んなわけねえか」と呟くと、
「そうですね。『お湯のみセット』と同じく環境が理由ですね」とスタッフのSさん。
「ティファールとか、鍋とかがない?」
「うん、そのパターンもありますね」
「……あと、電気とかガス、とめられてるときだ」
「正解です! あと、外にいることが多い人が『常温セット』を望まれる場合もありますね」

そんな『常温セット』のラインナップはこれ。

ということで、私も詰め作業をお手伝い。
紙に書かれた情報に従って、工夫をしてみた。

ふむふむ。この人は「辛いのが苦手」って書いてある。
じゃあボンカレーは甘口やね。

あと、パスタソースもあれなんじゃない? このアラビアータっていう味のやつ、唐辛子入ってるはず。別の味にしよーっと。

「おおお、そこ落とし穴ですよね。さすが〜」

ほめられて嬉しい。ちなみに私は、辛いのがとっても大好きです。

今度は「ドライフルーツが苦手」な人がいました。

ドライフルーツなんてあったっけか?? あ、おまいたちか。ソイジョイ分類のソイジョイ。真ん中の抹茶味ならいけるかな……と、 成分表示を見て確かめる。お、いけそう。てかホワイトチョコが入ってるんやこれ。ええやん。

……と、こんなかんじで、お肉やお魚を食べない人や、何かしらのアレルギーがある人に対応するための食材も揃ってる。見て、ボンカレーってこんな商品も出してるの知ってた?? 今度ためしてみよっと。

次は……「シャントリ」と「ナプキン」……シャントリ? 
「シャンプー・トリートメントですね」
なるほど、生活用品もある。

「じゃあ、最後にこれを入れてください」と渡された紙類たち。「闇バイトとか詐欺にひっかかっちゃう高校生が多いんですよ」とのこと。こうして手紙だったり、彼らに届けたい大事な情報を同封することも、ある。

……と、ぽいぽい入れてると、箱から溢れてしまった。フタが閉まらん。

「結構難しいでしょ、パズルみたいなんですよ」

やーほんとに。みんなどうやってるんですか。

「えーと。飲み物は底にして、レトルトごはんは3段にしてこっちに寄せます。ほんで、カレーや中華丼はこうやって、立てて並べて……」

と、Sさんに手直しをいただく。すいすい入っていく。美しい。

「で、ソイジョイはここにできた隙間に……んで、軽いフリーズドライ系を上に……あ、パッケージのこっち側が見えるように……ね、こうやるとおいしそうじゃないですか?」

うん、確かに…! 箱あけたときに、わー!ってなる。

私は、Sさんから「おいしそうじゃないですか?」という言葉が発された瞬間、自分の見てるものの温度が、ふと変わったのを感じた。ただの物体や作業現場じゃなくて、……や、物体だし作業現場なんだけど。なんていうか、知らない誰かの姿だけど、その人が食べてる風景が、箱の中に温度とともに、ふわっと浮かんだというか。


おっと。ここで入れるための箱がなくなった。
そしてここでも私は、知らないことに、触れることとなる。

「しまださん、追加の箱を組み立てましょう。僕、隣で組むんで、まず見ててもらって、それで一緒にやりましょー」

見ててもらって、って。箱くらい、しまだも組み立てられるんだが〜ぷいぷい

「こうやって立てて、テープを貼ります」
はいはい。

「で、ひっくり返して、段ボールの正面……っていうのかな、そこにシールを貼ります」
段ボールの正面ってなんだよ? 全面真っ白なんだが??

「今向けてくれてる面じゃない方で…まあどっちでもいいっちゃいいんですけども……一応こっちですね!」とひっくり返すSさん。

???? さっきと同じに見……あいや、つなぎ目がない方ってことか!!
「ですです」

こ、細けえええええ〜〜〜〜〜〜!! すごい。いや、美しいけれども。誰かに贈り物するとき、私もこういう所にこだわっちゃうほうだけども。……そっか。これ贈り物だ。

そしてもっと驚いたことに……

うわーーっ、これ! これ、めっちゃ助かるやつやん! 思いやりの象徴のような、すてきなひと手間……

「開封するところのテープは、こんな感じで、はじっこをちょっと折り返すようにしてます。もともとはバーっと貼っていってたんですけど、とあるスタッフがこれを自然とやってて。みんなで『あ、それいいな!』ってなって」

うん、とてもいい。こういうの、うれしいもん。
人だよ。この数cmに、人がいる。


と、ここで倉庫にひとりの女性が入ってきて、Sさんを呼んだ。

「しまださん、ちょっと待ってくださいね」

うん。待つ。なんだろう。なんだか急いでそう。


Sさんと女性は、いろんな箱の送り先シールを確認している。誰かの分を探してるっぽい。そして私が次に貼ろうとしていた箱も見て、「あっ、あったー!!」と叫んだ。

「これだこれだ、良かった!」と女性。
「良かった、今閉めちゃうところでした。何か入れます?」と聞いてみる。
「いえ、一旦送らないことになったんです。せっかく詰めてもらったのにすみません!」

女性はその後、誰かに電話をかけながら、またドアから出ていった。どうしたんだろ。

Sさんに聞いてみる。

「送らないってことは、支援卒業になった、とかですか?」
「いろいろですね。そういう場合もありますし、食事ではない支援のかたちがいるな〜となった場合もありますし」

ふむふむ。

「あとは、住所が変わる場合もありますね」
「引っ越しとか?」
「そうですね。今いる場所から出なくちゃいけなかったり、転々とされている方もいますし。あとは、本人じゃない誰かが受け取っちゃわないように…とかもありますね」

本人じゃない誰かが……とは。

「家族と一緒に暮らしてはいるけれど、この支援を受けていることを、内緒にしてる方もいます。理由はいろいろですけど、例えば、親にバレたくない人もいます。バレて、親に食べ物取られちゃうとかね。なので、こういう送り方もありますよ」

「そうかあ…昔、家の人にどうしてもバレたくないものをコンビニ受け取りにして、コンビニ前で開けて、リュックに入れ替えて帰ったことがあったなあ」

「そうですね、受け取る流れはそんな感じです」

「でも、そのリュックを持って出ること自体にも違和感持たれちゃって、結局バレて…みたいな」

「うんうん! なので郵便局留の分は小分けにしたり、紙袋も何枚か同封してるんですよ」

「わーっ、それはありがたい!」

いやー、これめちゃくちゃ嬉しいと思うなー。紙袋なんて、なんとでも手に入れられるんじゃないか……って思うかもしれないけど、違うんだよな。箱ん中に、一緒に入れてくれてる。もう、このことが、気持ちが、どれだけ心に届くことか。大げさかなあ。いや、大げさじゃないはずだ。


・・・


作業を進める上で、ふと思ったことがあり、Sさんに聞いてみた。

「これ、たくさんの食材って、毎回買ってるんですか?」
「そうですね、大半は寄付金を使って購入しています」
「そっか。フードバンク的なところとか、企業さんとの連携はどんな感じですか?」
「連携ありますよ。食材の寄贈があったり、サンプルの余りをくださったり。なので、それらを詰めることもあります」
「じゃあ、それがもっとあれば、もうちょっとお金まわりも……ってわけでもないのか」
「そうなんですよねえ……」

と、教えてくれたのは、こんな話だった。

寄贈で回ってくるのは、賞味期限や消費期限が近いものが多い。そして商品サンプルは、慣れ親しんで食べているものとはちょっと違うものが多い。

まずおなかを満たすことを考えれば、そのあたりは選んでられないんじゃ……という場合もあるだろう。でも、そうなってくると食料を送るとかじゃなくて、医療や福祉などの、他の分野に繋ぐべきシーンだったり。そんなニュアンスも添えつつ、Sさんは言った。

「この活動に頼ってくれる子どもたちや若者たちは、そもそも料理する気力、食べる気力がない人も、結構います。……で、何だったら食べたくなるかな〜って考えたとき、箱の中身が、期限の近いものや商品サンプルだけ、つまり誰かの余り物だけだと、少しさみしい気持ちになりませんか…?」

わたしは、その通りだ、と思った。
そして次のSさんの一言で、しばらく頭があがらんくなった。

「僕たちは、ごはんを届けます。でもそれと同じくらい必要なのは、『誰かに大切にされたという経験』を届けることだと思っています」

そうか。だからだ。

ていねいに選んである食べ物たち。
おいしそうに見える入れ方。
手書きの一筆箋。
テープ数cmの折り返し。

どれもみんな、「あなたのことが大切だよ」と寄り添う、イマイ君やSさんたちの気配なんだと思った。

箱の中のものを食べるとき、その人の近くには誰もいないかもしれない。いても、安心できる相手かわからない。でもきっとその人は、箱の中に詰まった、食材だけじゃない、「おだやかな気配」と一緒に、食事をするのだろう。

・・・

郵便屋さんが来た。

「76箱、うち局留めが3箱ですね」
「はい、よろしくお願いいたします」

郵便屋さんたちは、毎週同じ時間に取りに来るらしく。お馴染みなので、「この活動のことも知ってるよー」と言っていた。ちなみに今日は少ないほうで、100を超える日もよくあるんだと。そして、年末年始に近づけば、もっともっと増えるみたい。

郵便屋さん、お届けよろしくお願いします。

郵便屋さんの車を見送って、片付けも終わり、Sさんたちとさよならの時間。

みんな「ありがとうございます!」と言ってくれたけど、こちらこそです。知らないことをたくさん知れて、大事な時間だった。

そして、私がクラウドファンディングへの支援のボタンを押すことに、重さを感じていた理由も、ちょっとわかった。「もしかしたらこうかな?」くらいの説だけど。


1つ目は、なんかこう、悔しかったんだと思う。
私は自己中心的で、「自分にもいいことがないと助けるなんてできないよ」なんてことを思うタイプで。だから、クリックしてお金だけってのが悔しかった。何言ってんだって思われるかもだが。でも、みんなと一緒に過ごして、いいことあった。いいことっていうと語弊があるけど、知りたいこと・知らなかったことを得る時間を過ごせた。

2つ目は、ボタンが重かったんじゃなくて、私が軽かったんだと思う。
1つ目にも挙げたみたいに、私の状況が、知識が、スタンスが軽くて。なのに大事なことをするその重みとギャップがあるというか、納得感がなくて、知りに行きたかったんだと思う。

3つ目は、その選択がこわかったのだと思う。
今の世界、救われるべき出来事が多すぎる。お金募るじゃ追いつかない。私が選ぶ先やかたちはこれでいいのかどうか、っていう。そういうのは比べるとかじゃないけど、選択する上で必要な比較が、知らないままではできなかったんだと思う。


もちろん私が知ったことなんて一部中の一部。0.000000001スペシャルナノミクロンくらい。でも、行く前の私よりは詳しくなった。
そして、ちょっと身近になった。

Aさんは辛いのがにがて。
ツナマヨとナポリタンならいける? パスタにかけてどうぞ。

Bさんはドライフルーツがだめ。
抹茶味のソイジョイよさげやったよ、食べてみて。

Cさんはきのこ類が食べられない。
お味噌汁、なめこじゃなくて豆腐にしとく。

Dさんは風邪ひいちゃったからスポドリ多め。
ゼリーもあるよ!おかゆも食べれそうならがんばれ!!

ということで、
この世界のどこかにいるAさん、Bさん、Cさん、Dさん、聞いてください。

イマイ君の活動じゃないけれど、私は過去に、同じようなかたちで助けてもらったことがあります。何度も。銀行残高、いっつも3桁やったわ…。

んで、3桁脱出してからも、いろんな人に支えてもらって。先輩におごってもらったりもして。「そんなそんな」って言ったらいつも、「あんたがおごれるようになったとき、後輩にごちそうして。私もそう言われてきて、ほんで今やる側になってるだけやから」って言ってて。「はぁーーーかっこよ……!」ってなってた。「私もそれ、言いたいわあ…」ってなってた。

そんな私は、いま、お仕事がわりとじゅんちょうです。
生活もじゅんちょうで、貯金にちょっと余裕ができた。
だから、ちょっとだけですが、贈らせてください。

12月、いろいろ大変な時期だけど、いっぱい食べてくれたら、嬉しいです。私も12月、いっぱい食べるよ!
「いただきます」

・・・

以上、こないだの水曜日の話でした。


最初に、「あと24時間以内に読んでもらわんとあかんのでは」って書いたのは、このイマイ君たちがやっている活動のクラファンが、残り1日だからです。せっかくやったら、期限内にって思って書き始めたら、こんなギリギリになってしまいました……

でも、ここまで読んでくださった人と、一緒に考える時間を過ごせてたらうれしいな〜と思っている。そしてもし、「自分もちょっとならいけるかも。贈りたい」という方がいたら、イマイ君たちの活動のリンク先を開いてみてください。「認定NPO法人D×P」というところの、活動です。


【追記】また、ちょうど今日の夕方、ハフポストさんからイマイ君たちの活動の記事が出てました。私かなりフランクに書いてしまったので、わかりにくかっただろなと反省してます。もっと深く知りたい方、併せて、ぜひ。

「クラファンの期限過ぎたんだが!!」って人は、d×pに直振込もできるはず。貼っときます! お金じゃないサポートの仕方もあるので、それも貼っときます! のぞいてみてね。


そしてそして。

今これを読んでいる人で、「イマイ君やSさんたちの活動に頼ってみたいな」という場合はこちら。さまざまな理由で親に頼れず暮らす25歳までの人なら、LINEでいろいろ相談できます。その中で、必要に応じてごはんなどを受け取りながら、その後の生活安定までサポートしてるみたいだよ。


と、いうことで。
また!!



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