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第184号(2022年7月11日) 長期戦に備え始めたロシア

【今週のニュース】長期戦に備え始めたロシア

「ロシアはまだ本気を出していない」とのプーチン発言

ロシア大統領府、2022年7月7日 
 7月7日、クレムリンで下院の各会派代表と面会したプーチン大統領は、ウクライナに対する戦争について大要以下のような発言を行った。

・西側の制裁措置が「経済電撃戦」であったが、これはロシア政府の対策によって全く効果を発揮していない。
・西側は長年ロシアに対して攻撃的な姿勢を示してきた。何故なら彼らはロシアという国家の存在そのものが気に入らなかったからである。そこで彼らがロシア国内のテロリスト、分離主義者、内政の不安定化、「第五列」に支援を与えたのであり、これは今でも続いている。
・ドンバスで戦争を始めたのは我々ではない。ウクライナでは2014年に西側の支援を受けたクーデターが起こり、ドンバスで人々の虐殺をけしかけ、正当化した。悪いのはウクライナであり、扇動したのは西側である。
・しかし、西側はすでに敗北している。今回の事態でアメリカ中心の秩序は根本的に崩壊し始め、多極世界への移行が始まったのであり、このプロセスはもう止められない。米国にもヨーロッパにも、他の大陸にも私たちの支持者はたくさんいるし、ますます増えるだろう。
・西側諸国の支配層は以上のような現実を人々に気づかせないため、情報統制を強化している。それだけでなく、政治、文化、教育、芸術、生活のあらゆる分野にも及んでいる。
・聞くところによると彼らは我々を戦場で敗北させようとしているようだ。やってもらおうではないか。西側はウクライナ人が「最後の一人まで」戦うと思っているらしい。これはウクライナ人にとって悲劇だが、どうやらそうなりつつある。しかし、我々はまだ何一つ本気を出していないと知るべきだ。
・同時に我々は平和交渉を拒否しない。ただ、事態が進むほどに交渉は難しくなる。

 要はプーチンのウクライナに対する姿勢は開戦当初から全く変わっていないのであって、この4ヶ月半に及ぶ戦争はまだ序の口に過ぎないと見ている、ということになろう。

ロシアの戦時経済動員に関する動き

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