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第208号(2023年2月6日)ロシア軍大攻勢の兆しとウクライナへの軍事援助の行方

【インサイト】ロシア軍大攻勢の兆しとウクライナへの軍事援助の行方

ウクライナ東部でロシア軍の攻勢が本格化

 長らく予想されていたロシア軍の構成が本格化する兆候が見られ始めました。特に顕著なのは激戦が続いてきたバフムトの北方です。1月13日にソレダルが陥落させたロシア軍はさらに北西に進んでシルを占領し、2月初頭にはシル北部のサッコ・イ・ヴァンツェッティ村を確保しました。これによってロシア軍は幹線道路T0513を遮断するとともに、その北部及び東部へ進撃する足掛かりを作ったと見られます。
 バフムト市の北部と南部でもロシア軍は占領地域を広げており、特に市の西側に伸びるT0514線を遮断させると補給も圧迫されそうです。英国防省はその周辺の道路についてもロシア軍の火制範囲に入っている可能性が高く、バフムトが徐々に孤立しつつあるとの見方を示しています。

 これがバフムトの陥落に繋がるのかどうかはまだ判断し難いですが、昨年秋以来で最大の戦果をロシア軍が挙げつつあることはおそらく間違いないでしょう。もう少し南側のアヴディーウカ、ブフレダールでもロシア軍がウクライナ軍を大きく押しており、ドネツク州全体を制圧するための大攻勢の前触れである可能性は高そうです。
 さらにロシア軍は北部のスヴァトヴェとクレミンナでも攻勢に出ています。
(戦況の全体については米戦争研究所(ISW)MILITARY LANDの戦況図を参照されたい)

西側からの戦車供与の状況

 ドイツのショルツ政権が自国製戦車の供与に合意したことを受けて、カナダはレオパルト2戦車の第一陣をウクライナに発送しました。同国のアニータ・アナンド国防相のツイートを見るに発送されたのは1両だけ(ツイート原文は単数形)のようですが、まずは供与を表明している4両は比較的早くにウクライナに送られると見られます。

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