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第32号(2019年4月5日)  「最前線の島」宮古島訪問記

存在感を増す「軍事大国ロシア」を軍事アナリスト小泉悠とともに読み解くメールマガジンをお届けします。
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【見聞録】「最前線の島」宮古島訪問記

 今回は久しぶりに「見聞録」をお届けします。
 従来の「見聞録」は旧ソ連諸国やロシアの訪問記ですが、今回は宮古島。もちろん観光ではなく、陸上自衛隊の招待で、新たに開設された陸上自衛隊宮古警備隊の編成完結式に出席してきました。
 この陸上自衛隊フォーラムというのは以前から陸自がやっている有識者向けのイベントで、昨年はこの枠組みで九州での「鎮西」演習を見学させてもらっています。費用は基本的に自腹なのでそうしょっちゅう参加できるわけではないのですが、今回はANAのマイルがだいぶ溜まっていたので、ちょっと行ってみるかとなったわけです。

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 本メルマガ読者の方はご存知の通りかと思いますが、防衛省は現在、南西諸島の防衛体制強化を進めています。特に台湾・尖閣に近い先島諸島(宮古島を中心とする宮古列島はその一部)は平時における中国公船の侵入はもちろん、有事においては日米中の最前線となることが予想されるためです。具体的には、2016年に与那国島に沿岸監視隊が設置されたのに続き、宮古島と石垣島に警備隊、防空システム、地対艦ミサイルを配備するというもので、今回はそのうちの宮古島駐屯警備隊が編成完結となったわけです。
 まだペンキの匂いがする新隊舎(沖縄県の景観に合わせて赤い瓦屋根を使っているのが印象的)で受けた説明によると、宮古警備隊は西部方面隊第15旅団の隷下にあり、総勢約380名。主力は1コ普通科中隊で、4コ小銃小隊の他に中距離多目的誘導弾(MMPM)などを装備するとのこと。
 さらに駐屯地の隣には新たに防空システムと地対艦ミサイル(中SAMと12式だと思われます)を配備するスペースも整備されており、最終的には600-700人くらいの陸上自衛官が勤務することになるようです。

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