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第179号(2022年6月6日) ウクライナ侵攻作戦「現場監督」の失脚? ロシアの軍事力を考える ほか

【NEW CLIPS】ウクライナ軍のドローン撃墜の瞬間

*ウクライナ軍第45砲兵旅団のドローンが偵察中にロシアの地対空ミサイルで撃墜される瞬間を捉えたもの。

【今週のニュース】ウクライナ軍への多連装ロケット供与とロシア軍で新たな極超音速ミサイル部隊発足

西側からウクライナへの軍事援助

 西側諸国からウクライナへの軍事援助は依然、拡大傾向にある。
 特に目立つのは火砲や多連装ロケットシステムといった火力アセットで、たとえばポーランドは既に3個砲兵中隊(18門)のクラブ155mm自走榴弾砲をウクライナ軍に供与するとともに、操作要員100人以上への訓練を開始した。ポーランドはさらに7億ドル分のクラブ(記事の見出しによれば60門)をウクライナに供給予定とされている。

 また、これに先立つ6月1日、米国はM142HIMARS多連装ロケットシステム4両とその誘導弾薬(GMLRS)を含む新たな対ウクライナ軍事援助パッケージを公表したほか、ドイツと英国も自国が保有するM270多連装ロケットシステムをウクライナに引き渡す計画であると報じられている。

M142HIMARS

 こうした動きは当然のことながらロシア側の警戒感を呼んでおり、6月6日のTASS通信には「M142とM270をなるべく早く破壊すべきである」という退役砲兵将校アレクセイ・サカンツェフの見解を掲載した。

2つ目のアヴァンガルド極超音速ミサイル連隊が間も無く実戦配備へ

『TASS』2022年6月5日 
 ロシア戦略ロケット部隊のカラカエフ司令官は、2つ目のアヴァンガルド極超音速ミサイル装備連隊が間もなく実戦配備につくと明らかにした。最初に編成された連隊はウジュールに配備されたが、2つ目の連隊はヤスネセンスキー配備になるとしている。
 なお、カラカエフによると、2022年中にはヤスネセンスキーのアヴァンガルド装備連隊を含めて4つのロケット連隊が実戦配備につく予定である。残る三つの内訳はサルマート新型重ICBM装備連隊(ウジュール)とヤルス移動式ICBM装備連隊2個(トヴェリ及びキーロフ)であることも明らかにされた。

【インサイト】ウクライナ侵攻作戦「現場監督」の失脚?

 今月3日で、ロシア・ウクライナ戦争(最近は交戦主体をはっきりさせるためにこの名称を用いるようになりました)が100日目を迎えました。私自身は戦争が始まればロシア軍の圧倒的勝利で終わると考えていたのですが、この予想は完全に外れたと言わねばなりません(例えば開戦後最初に出たメルマガ第166号を参照)。

ドヴォルニコフ上級大将解任との情報

 こうしたわけで、戦争は既に三ヶ月半に渡っています。その戦況は毎週のようにお伝えしているので、今回は少し角度を変えてこの戦争を見てみたいと思います。作戦の総司令官を務めるアレクサンドル・ドヴォルニコフ上級大将が更迭されたのではないかという話です。
 ジョージアに拠点を置く公開情報調査機関「紛争情報チーム(CIT)」がロシア軍の内部情報に基づくとして主張している話で、後任は政治・軍事担当国防次官のゲンナジー・ジトコ大将になったとしています。

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