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第288号(2024年12月9日) アサド政権の崩壊とロシアの軍事プレゼンスの行方
【インサイト】アサド政権の崩壊とロシアの軍事プレゼンスの行方
アサド一家、モスクワへ
50年にわたってシリアで独裁体制を続けてきたアサド政権が、ついに崩壊しました。12月8日には首都ダマスカスを制圧した反体制派が勝利宣言を出しており、バッシャール・アサド大統領は飛行機で逃亡したと見られています。ロシアの国営通信社TASSがロシア大統領府筋の情報として報じたところによると、アサドは家族と共にモスクワへ逃れ、亡命を認められたとのこと。
ロシア外務省の声明
さらに本稿の脱稿直前には(というの、最近多いですが、それだけ突発事態が相次いでいるのです)ロシア外務省が重要な声明を出しました。これによると、「B.アサドとSAR(訳註:シリア・アラブ共和国)領内における武力紛争参加勢力(訳註:複数形)との間で行われた対話の結果、彼は大統領職を辞して出国し、平和的な方法で政権を移譲するよう指令を出した」とのことです。この声明ではアサドに「大統領」という職名がつけられていないことからして、ロシア政府としてはもうアサドが大統領ではなくなったと認識していると読めるでしょう。
また、「武力紛争参加勢力」が誰なのかは明らかにされていないものの、「ロシア連邦は参加していない」との断り書きがついています。これも本当かどうかは分かりませんが、少なくとも一定の手打ちがあったことはたしかなのでしょう。とすると相手は?まずは直接の交戦相手であるHTS(後述)が考えられますが、そのほかにトルコやイランとも何らかの交渉を行なった可能性はあるでしょう。
シリアはこれからどうなるのか?
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