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儚くて美しかった彼の人。


突然ですが皆さんはこんな経験がおありでしょうか?
例えば、大好きな漫画が連載終了。お気に入りのコスメが廃盤。素敵なお店の閉店。こう言った事が起きた時に、SNSで見かけるのが「好きだったに、○○ロス…」の文言です。
私は個人的にこの”ロス”という言葉を感傷や寂しやを表す言葉として捉えています。なので、あまりにもロスが続く方がいると、大丈夫かしら…とお節介にも考えてしまうのですが、それはさておき。
ここからは個人的な”ロス体験”についてお話ししたいと思います。
何年前かは正確には覚えていませんが、ひょんな事からとある著名な小説家さんの本を購入しました。
正直に言いますと特にその作家さんのファンでもなく、単純に文庫版の表紙が美しかったのと、その小説自体もかなり有名なものだったので、読んでみようかな、くらいの気持ちでした。
そしていざ読み進めると…静かさと嵐の中にいる様な悲しみや、彼ら彼女の抱える何とも言えない思い荷物、心の痛みを伴う傷や再生、そして性と死。
読み終えた時、私は確かに”ロス”を感じました。しかし私の感情を揺さぶったのは、主人公でも、その親友でもなく、静かに穏やかに壊れて亡くなってしまったとある女性でした。何故か泣けて泣けて、お話の中のその女性の言葉を何度も読み直しました。死んでしまった事よりも、こうなるしかなかったのだなぁという、美しく壊れていく彼女の姿が悲しくて愛おしかったのです。
とても不思議な気持ちがしました。

今も時々、彼女の好きだった曲を聴いたりします。
やはりなんだか不思議な気持ちになりながら。

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