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物欲の方向性。

先日、銀座にある百貨店でファンデーションを買った。私の買い物を見て、そこに立ち会った幼馴染は「私はコスメにそんなにかけられない。ライブ行きたいし。推しに会いたいし。」そう呟いた。

それでいい。実際、効果があるのかも怪しい中途半端な美容液を買うより、同じ値段でチケット買ってライブに行った方が、肌つるつるになるし、楽しいし、場合によっては人生の糧になる。本当にそう思う。
それに彼女はいつも、きちんとメイクをしていて、お洒落だ。
肌に合っていて使いこなせるのなら、手軽に買えるものを使うことは全然悪じゃない。服にもコスメにも手軽さを求める彼女と、私の買い物は違って、私のそれはただの道楽である。興味の方向も、何を重要視するのかも、限られたお金を何に使うかも違うのだ。ぶっちゃけ、好きなアーティストがもっと身近な活動をする方だったら、私もそっちにコストを掛けると思う。彼女もそれを理解している。

単純に。デパコスが好きだ。百貨店で買い物をするのも好きだ。普段から人に会うことが少なく、化粧をして外に出ることも滅多にないのに、私はデパコスが好きだ。もちろん、プチプラなコスメも可愛くていいと思うし、使うこともある。
今回だって、そのファンデーションを選んだ理由は、何かでいただいたサンプルを使用したら、めちゃくちゃ良かったから、ただそれだけだ。ファンデーションにしては少しだけ高価な方かもしれない。けれども、体育館で滴るほどの汗をかいても、一日中乾燥した屋外を歩き回っても、崩れずに綺麗な肌を演出してくれるそれは、私にとって必要十分な購入動機だった。(あと、私の使い方なら、普通に毎日使っても1年以上もつと思う。)

博物館に行ったり、お菓子屋さんを覗いたり、香水屋さんに寄ってみたり、カフェに入ったり。彼女とのデートはずっと好きなものの話をしていることが多い。
可愛いもの、綺麗なもの、かっこいいもの、いい匂いのするもの、心地よい関係。苦手なものは苦手と言い合い、好きなものは一応 共有してみる(相手が興味を持つとは限らない)。
喉がカサカサになる程お喋りをして、帰路に着く。
「今度はライブ誘うね。」
「興味持てたらな。」
いつものやりとり。なんだか似ているのに、私たちは全然違う。
根本的に。物欲の方向性が違うのだ。多分。

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