車輪でボールを追いかけて 8

かのこさんのサイクルサッカー日記

【2019年11月24日】

今更だが、サイクルサッカーの試合は前後半7分づつ、間に2分のインターバルを挟んで行われる。
7分という時間は意外に長く、初めてゲーム形式でコートに入れていただいた私は、ただただコートの中を走り回る事しか出来ず、ゆるっゆるに手加減してくださる先輩方に振り回され、開始3分で根を上げた。(一応、前半の7分は耐えました。)
あまりにも、基礎体力がなさすぎる。
反省しかないコートデビューはただただキツくて、それでもとても楽しかった。早くゲームが成り立つくらいには、ボールを触れるようになりたい。練習しよう、と思う程に。

思い返せば贅沢過ぎるコートデビューだったと思う。
一週間後、彼ら先輩ペアは全日本選手権を勝ち抜き、見事、ナショナルジャージを手にしたのだから。

12月に入って、世界選手権と全日本選手権という二つの大きな大会があった。世界選手権は中継を、全日本選手権は大阪まで足を運んで現地で見た。
気付いたことがたくさんある。
パートナーのとの関係性や体格、打てる球の速さ。そういったものに目が行きがちだけど。重要なのはそこじゃない気がする。
海外も国内も、トップの選手ほど基礎が安定している。
ああ、なるほど。同レベルなら経験値がものを云う。だけど同じくらい、バイクとボールをコントロールすることが強さに直結していると思う。
若い選手たちの力強さや体力は武器にはなるけど、武器のひとつでしかない。
狭いコートの中での試合は、出来る事が限られる。展開には定型があって、それはまるで詰将棋のようだった。思い描いた“定型”を、より正確に再現出来る者が勝つのだ。

「女子は、男子に勝てないんですよね…圧倒的に力の差があるから。」
そう聞いて、でも、と思う。
それは当然、力以外のレベルが同じなら力のある方が速い球を飛ばせる分、俄然有利だと思う。
でも、ゲームはそれだけじゃない。
パートナーへの正確なパス回し、ボールを奪い手許に守るだけのバイクコントロール。ひとつひとつを的確につなぐ事が出来れば、速い球は打てなくても優位に立てる。
多分、きっと。
だから、小柄な年輩の方が、息子どころか孫くらいの若くて大柄なプレイヤーにも勝てるのだ。
女子は圧倒的にプレイヤーが少ない。女子をはじめとする小柄なプレイヤーがバイクを振り回すような動作をコーチ出来る者もあまり居ないんだろうと思う。
ゲームを見ていても、それは明確だった。
全日本選手権の女子リーグは今回、発足したばかり。
大会としても、各チームとしても、伸び代があり過ぎる。
これ、ちゃんとやったらめっちゃ面白い事になるのでは?

でもまあ、私はまずゲームになるだけの体力を付ける事ですね。はい。頑張ろ。

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