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喫茶店のナポリタン (レシピ付き)

子供の頃から超のつく偏食だった私が、ずっと好きだった食べ物がある。
近所の喫茶店のマスターが作ってくれたナポリタンだ。

小学生の頃、厨房の手伝いをさせてもらって、レシピを覚えた。(他にも色々なレシピを教えてくれたけど、今日はナポリタンのお話です。)

湯を沸かしてパスタを茹でている間に、ベーコンかソーセージと野菜を切って少量の油で炒める。
ソーセージは薄切りに、玉ねぎは薄めのくし切りに、ピーマンはタネを取って輪切りの方向に3〜5mmの幅で切る。
中火でサッと炒めて、野菜の色がツヤッと鮮やかになったら、いったん火を止める。
ケチャップ大さじ4と中濃ソース大さじ1、牛乳かスキムミルクを大さじ1入れて混ぜて、水気を切ったパスタをどーんと投入。
さっと混ぜながら中火で炒め、軽く水分を飛ばす。
以上。
慣れるまではちゃんと分量測っておけば失敗しない。

ケチャップに牛乳を少量混ぜると、酸味がマイルドになって柔らかい味わいになる。
マスターは、酸っぱいトマトにポン酢を少しかけて焼くピザトーストも教えてくれた。こちらもトマトの酸味の角が取れて食べやすくなる。炒め物にするトマトが酸っぱい時にも、ポン酢を少し和えてから炒める。(原理は知らない。)

その喫茶店はもうとうに無くなってしまって、マスターの作る料理を食べることも、もう叶わないのだけど。
今でも私はナポリタンが好きだ。
ケチャップに少しだけ牛乳を混ぜながら、喫茶店の甘い空気を思い出す。
珈琲の香りに薄く混じる煙草の匂い。厨房に漂う消毒液の微かな匂い。カレーやケチャップの甘く煮える匂い。

私を孫のように可愛がってくれたマスターの作るその味は、いつまでも私の台所に残っている。

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