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ナナメさん#012 月森ミラさん

公務員から占い師へ。傍から見れば驚くべき転身だが、いたって穏やかな語り口でその経緯を話してくださったミラさん。決断の背景にあったもの、占い師になるということ…様々なお話を聞かせていただきました。

月森ミラさんのプロフィール

月森ミラさん(占い師ネーム)

30代前半・女性・佐賀県出身

・通った学校について教えてください
地元の町立小学校→町立中学校→隣町の県立高等学校普通科→福岡県のビジネス系専門学校(実家から通っていました。)

・部活動
中学:軟式テニス部
高校:硬式テニス部

・好き(得意)だった教科:国語、歴史、音楽
・嫌い(苦手)だった教科:数学、物理、化学、体育

・卒業後の略歴を教えてください
関東圏の地方公務員(小学校事務)で12年の勤務後、退職。
4か月ほど、フリーランスで占い師をしようと考えて活動してみましたが、集客や運営の仕方が分からず、勉強をしてからにしようと、今は、とりあえず生活のためアルバイト(時々Wワーク)をしながら、副業で占い師をしています。
現在、正社員として企業に再就職することも検討しています。(占いは副業で続けていくつもりです。)

・現在の家族構成
祖母・父・母・私・弟(家族は実家に住んでいます。)
私は、公務員に就職する際に上京して一人暮らしをしていましたが、現在はお付き合いしている彼と同棲中です。

・趣味
サッカー観戦、読書、美術館・博物館巡り、御朱印集め

・休日の過ごし方
スタジアムやテレビでサッカー観戦をしたり、占いの勉強や資格試験の勉強をしたり、読書をしたり、彼とのんびりしたり、買い物行ったりなどです。

・好きな音楽
J‐POPも洋楽もアニソンも良いなと思ったものは何でも聴きます。雑食です。

・おすすめの本
小説だと村山由佳先生や湊かなえ先生の作品が好きです。

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夢を持つことに冷めていた学生時代

――よろしくお願いいたします。早速ですが、高校に進学する頃のお話から聞かせていただきたいのですが、当時は進学や将来の職業についてどのように考えていましたか。

私、小学2年生の頃から高校生くらいまで「将来の夢」というものがなかったんです。物心ついた頃から「夢をかなえられるのはほんの一握りの人で、私はそちら側に行ける人間じゃない」「仕事は生きるために、生活のためにするもの」みたいな考えを持っていて。だから高校を選ぶ時も何となく、隣町の普通高校でいいかなって。

――夢を持つことがなかった。

佐賀県の田舎で生まれ育って、家族は教員や公務員だったこともあり「安定しているのがいいこと」という価値観がありました。だから大きな夢を持ったり挑戦したりすることに、どこか冷めていたというか。
泣き虫の弟がいて、何かと私が責められたり我慢を強いられたりする環境で育ったので、自己肯定感が低かったせいもあると思います。

――なるほど。私も気の強い妹がいるので何となくわかります(笑) それで高校生活はいかがでしたか。

高校では、色々な人と関わることで人付き合いの仕方を学ぶことができて良かったと思っています。特に仲が良かった子とは、保育園時代から高校まで部活や習い事を含めずっと一緒だったんです。彼女とはたくさん時間を共有することができて良かったと思ってます。今でも連絡を取りあう仲です。

――高校卒業後の進路についてはどのように考えていましたか?

高校三年生頃になって、久しぶりに「将来の夢」というのを持てたんですよね。それが大学を卒業しないと資格が得られないものだったので、大学を受験しました。でも失敗してしまって。そこで浪人してまで夢を追おうというバイタリティーは自分にはなかったので、その夢は諦めて、「とりあえず公務員になれば間違いないんだろうな」という感じで公務員試験を目指すための専門学校に入ることにしました。

――そうして入った専門学校はいかがでしたか?

公務員試験に向けての対策をする学校だったので、授業は小中高で習ったことを復習するような内容でした。
福岡の学校だったので、私のように隣県から通ってくる人も多くいて、色々な友人ができて楽しかったですね。

地元を離れ、学校事務として働き始める

――公務員試験はいくつお受けになったのでしょうか。また、どうやって選んだのでしょう。

公務員といっても警察官や自衛官から一般的な行政職まで色々とあるのですが、私は事務系の志望だったので市役所や国家公務員を四つくらい受けました。
専門学校ですごく良くしてくれた先生が、「遠くに行く気があるならおすすめの県がある」と、いくつか挙げてくれたんです。その中の一つが千葉で、千葉には親戚がいたので「じゃあ受けてみようかな」と。

――なるほど。それで見事試験に合格、小学校の事務のお仕事に就かれるわけですが、働き始めてみていかがでしたか。

小学校の事務職員って、基本的に一つの学校に一人なんですよね。前任の方と引継ぎを半日くらいして、あとは学校内に同じ立場の人がいない状態で仕事を進めなければいけなかったので、すごく不安でした。その年は産休育休などで先生の入れ替わりが多くて、そのための書類作成の仕事もたくさんあって。連日日付が変わってから帰宅したり、土日にも出勤したり…。大変すぎて、一年目の記憶があまりないんです。そんな状況だったので、初めから仕事に対してネガティブな感情を持ってしまいましたね。

――最初の年からそんなに大変だったんですね…。そこでは辞めようとか考えることはなかったんですか?

いきなり辞めるって行動には出られなかったですね。遠くまで出てきちゃってたし、気軽に帰る気持ちにもなれなくて…ずっと辞めることは頭の片隅にあったのですが、気づいたら12年働き続けていました。

――仕事には良い面もありましたか?

ありました。子供たちの姿が見える場所で働けるのは学校事務のいいところだと思います。自分の仕事がこの子たちのためになっているんだと感じながら仕事ができたのは、モチベーションを維持するうえですごく大きかったです。
職場の先生方には良くしていただきましたし、保護者さんもいい方が多くて、日々人間関係で悩むような環境ではなかったことにも助けられました。

自分のストレス状態を目の当たりにし…

――辞めようと本格的に考え出したきっかけがあったのですか?

辞める3年前から職場でストレスチェックが始まったんですが、それに毎年引っかかっていたんです。毎回、結果とカウンセリングの勧めが送られてきて。自分の心の状態を客観視する機会ができて、改めて「私ってしんどいんだな」と認識するようになって。

――カウンセリングは受けてみましたか?

二度受けましたが、カウンセリングというか面談という感じで、深くお話をすることはありませんでした。

――ストレスチェックが始まって3年目で、辞める決断をしたんですね。

あと一年でおそらく異動というタイミングだったので、もう一年やってから辞めようかなとも考えたんですが、徐々に精神的にすり減ってきていた状態で「あと一年耐えられるのか」と考えたときに、もう持たないだろうなと。
あと一年頑張って本当にメンタルに支障が出てしまったら、社会復帰するのに時間がかかってしまうなと思い、まだ大丈夫なうちに辞めようと思いました。

――実際に辞めた時のご気分はいかがでしたか?

不安よりもポジティブな気持ちが勝っていましたね。「これから自分の人生を作るんだ!」って。それまでずっと何となくで生きてきてしまいましたが、これからは色々な縛りを取っ払って、自分の好きなことをやろう、好きなことができる人生を切り拓いていこうと思いました。
辞める数年前から占いを勉強していて、自分の生き方についてより主体的に考えていきたいと思い始めていた頃だったので、そう思えたんだと思います。
収入がなくなる不安が無かったといえば嘘になりますけど、辞めたことに対しては全然後悔していないですね。何ならもっと早く辞めればよかったと(笑)

――辞めようと考えたとき、その後のお仕事などについてはどのように考えていたのでしょうか?

辞める決断をしてから退職するまで2か月くらいあったので、就職面接を受けてみたりもしました。でも正社員として働くことにまた縛られてしまう…という気持ちが出てきたので、ちょっと一年好きにしてみようと思ったんです。そこで占い師として活動を始めながら、アルバイトなどで生活費を稼ぐ生活を選びました。

「占い師って、私にもなれるの!?」―占いの世界との出会い

――占いと出会って、仕事にしたいと思うようになるまでのことをお聞かせいただけますか。

子供の頃から占いは好きだったのですが、占いをする人って霊感とか特別なパワーとかを持っているものだと思っていたので、自分が占う側になるなんてありえないとずっと思っていました。
仕事を辞めて実家に帰るかどうか悩みに悩んでいた時期、ふと占いを受けてみようかと思い、ブログを見て気になった占い師さんに占ってもらったんです。手相を見てもらったのですが、「占い師向いてるよ」って言われて。「え、なれるんですか!?」と(笑)
その後いろいろ調べて、占いって、勉強して身に着けることができると知ったんです。もちろん特別なパワーをお持ちで活動されている方もいますけど、占い師さんって勉強熱心な方がすごく多くて、勉強を続けていくことで自分の占いに磨きをかけているんです。

――占い師さんから「占い師向いてるよ」と言われるとは(笑) どうやって勉強したんですか?

その時占ってもらった先生の講座でタロットを教えていただいて、別の占い師の先生から西洋占星術を学びました。
基本は講座と書籍で学んでいますが、占いで活動している人同士で集まって勉強会を開くこともあるんですよ。お互い占いあって感想を言いあったり、使っているカードや道具の情報交換をしたり。私も参加したことがありますが、すごく刺激になりました。

――外から見るとちょっと近寄りがたい世界なのですが、実はそうでもないんですね…?

私も初めはそういう印象を持っていました。スピリチュアルっていうと何か怪しい感じもしますが、実際に占いの世界に入って行ってみると、不思議と居心地よく感じたんです。
先生方もとても優しくて、講座では自分の技術を惜しみなく伝えてくれますし、皆すごく応援してくださるんです。
社会に出てから「自分の居場所」というのを感じられない人生を送ってきたと思っていたのですが、この世界に触れたときに「私の居場所ってここなのかな」とピーンときたんですよね。

占いはその人に寄り添い、パワーをくれるもの

――占い師として、どんなことを考えながら活動していますか?

タロットをやっていると、いわゆる「良くないカード」が出たりもするんですけど、それに対してどう心を持っていけばいいのか、どう距離を取ればいいのかというところで、ポジティブになれるようなアドバイスをするように心がけています。それで依頼者さんから「前向きに捉えられるようになりました」とか「アドバイスをもとに頑張って向き合ってみようと思います」と言われると、嬉しいですね。
占いってその人の心に寄り添ってあげられるものなんだなって感じています。

占いをしていると、「彼が」とか「仕事が」とか、自分ではないものが主語になってしまっている人に多く出会うんです。でも私は「誰かにどう思われているか」よりも「あなたがどうしたいか」を考えてほしいと思っていて。相手が主体ではなく、自分を主人公にしてほしいって伝えていきたいんです。そうやって自分の人生の舵を自分でしっかり握って生きる人が増えたらいいなと思っています。

――ミラさんならではのお言葉ですね。ミラさんは占いを通して主体的になることができたんですね?

そうですね。占いを勉強していて最初に誰を見るかというと、自分を占っちゃうんですよね。それで出た結果が自分の思っていたことと違う場合もあるのですが、一旦客観的な意見として受け取って、それに対してどう感じるか、どう思うかを考えることで視野が広がり、より主体的に自信をもって物事に向き合えるようになりました。
それから私、占いをするようになるまでは自己肯定感も低くて、何となく流されがちに生きてきたんですけど、占いをするようになってからは「嫌だな」とか「つらい」だけで思考停止しないで、「じゃあこれとどう付き合っていったらいいだろう」と、未来へつながるアプローチがとれるようになりましたね。

――なるほど。占いとのいい付き合い方を教えてもらったような気がします!

好きな人や好きなことを大切に生きていきたい

――昨年から占い師として活動してみて、今は再就職も検討されているとのことですが…

一年ほど活動してみて、占い師としてそれ一本で食べていくのは、とても大変だということは実感しました。まだまだ勉強中でもあるので、講座を受けに行ったり書籍を買うにもお金がかかりますし、もちろん生活費も必要で。ですから占いの世界に軸足を置いて、最終的には占い師として自立することを目標に、日々の生活や将来のために別のお仕事もやっていく必要はあるかなと考えています。

――今後はプライベートも含めて、どんな未来を目指していきたいですか。

今同棲している彼がいるんですが、私が公務員を辞める決断ができたのは、彼と一緒に暮らしていたおかげもあったんじゃないかと思うんです。支え合える人がいたのは大きかったなと。ですから私は占い師としてしっかりお仕事できるようになって、大切な人との暮らしも大事にできる未来を目指していきたいです。

公務員とフリーランスを経験して

――最後に、公務員とフリーランスの両方を経験されたミラさんから、学生さんへのメッセージをいただけますか。

まず公務員を目指している方に向けてですが、公務員ってやはり税金からお給料をいただいているわけなので、「誰かのために仕事をしている」という意識がとても大切だなと思っています。これから公務員を目指す方にはそういう気持ちをもって目指してほしいですし、働き始めてからも初心は忘れずにお仕事と向き合ってほしいと思います。

フリーランスに興味のある方に伝えたいことは、「フリーランスの世界は自分が思っていた以上に厳しい世界だった」ということです。私は営業や集客について全く勉強せずにやってきてしまったので、ちょっと挫折しかけました。仕事はお客さんがいないと成り立たないですから、そこも勉強してから開業したほうが軌道に乗るのに時間がかからずに済むと思います。私もこれから頑張りますので、一緒に頑張りましょう!

――貴重なお話、ありがとうございました!

最近ラジオをお始めになったミラさん。「自分がお客さんだったら占い師さんがどんな人か知りたいって思うし、SNSでの活動がメインなので、テキストだけでは伝わらない雰囲気や空気感が少しでも伝わればと思って」取り組まれているそう。ミラさんの声や話し方はふんわりとしていてとても癒されるので、ぜひ聴いてみてください!

ミラさんのtwitterはこちら

https://twitter.com/moon_4722


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