第十七回『いきおいのつじつま』
次なる展開が始まる十七回。
今回は裏設定ではなく、いつもより細かく描写についての解説をしてみようと思います。
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冥土の土産
普通、冥土の土産と言えば、死にゆく相手に送るもの。
自分が死ぬのに、他者へ投げかけるのはあべこべです。
しかし、武蔵四郎にその意図で残したのは、「お前もどうせこっちに来るんだろ?」と修羅百八が思っていたことを示しています。
それだけ、破輪の七剣が化け物だらけということも暗示している面も。
この辺、紛らわしくもあるので、「最期に」とかに書き換えることも出来るんですが、温度優先で残しています。
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九十九姫の口調
「わかりや」という口ぶりは、九十九姫より百足太夫に似合うような、廓言葉っぽいですよね。
本来、「見てわからぬか!」のほうが九十九姫の口調としての統一感があります。
しかし、これは敢えてそうしています。
九十九姫は、相当な新しもの好きです。
そのため、廓言葉に影響を受けた結果がこの口調となります。
ただし、九十九姫は影響を受けやすいわけではなく、受けたいと決めた影響を強い意志で受けるタイプです。
流されやすくはないが、自分で激流に飛び込みたがるイメージですね。
ちなみにこれに関しては、初めからそこまで考えて書いたというより、一気にテンションで書いたあと、「あれ? おかしいな」と一旦気づき、「いや、でもこのキャラからしたらこのほうが温度高いな」と、残すように決めたものです。
そういう意味では、「作者として最初からそこまで考えていたわけではない」けど「考えずに決定稿に残したわけではない」というケースは割とあります。
言ってしまうと、前述の「冥土の土産」も同様です。
ハイペースで書いているがゆえの事例ですね。
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銃を準備している五子
五子が火縄に火をつけています。
シナリオでは九十九姫が撃ちまくることしか書いておらず、五子については特に指定がないものです。
実際、現代の重火器と異なり、複数の火縄銃で連射をしようとすると、準備は非常に手間です。
つまり、シナリオでは完全にウソをついていたところを、藤田先生がフォローしてくれているのですね。
ありがてえ……ありがてえ……!!
こういったシーンは他にもたくさんあるので、藤田先生には足を向けて寝られません。
精進せにゃ。
さて、次回、第十八話ブログは4月17日(水)、『しごにんの侍』第十八話はその前週、4月10日(水)に公開予定です。
そして、4月10日(水)は単行本第三巻の発売日でもあります。
なにとぞごひいきに!
といったところで、今回ここまで。また次回のおたのしみ。