個人的にここが好き!ベンジャミン・ブリテン♪青少年のための管弦楽入門

ベンジャミン・ブリテン(1913-1976)とは、イギリスの作曲家で、近現代に属しています。作曲家の傍ら、ピアニストや指揮者としても活動していました。
コントラバスの名手であり指揮者でもあったクーセヴィツキーとも親交がありました。
個人的にツボなのは、ある指揮者の棒の振り方について軽くディスったら、その方がキレてブリテンの作品を一切演奏しなくなったという話。
若気の至りですね(笑)

○青少年のための管弦楽入門
ブリテンが1945年に作曲した管弦楽曲。プロコフィエフの『ピーターと狼』と並んで、オーケストラの入門曲として非常に有名(?)な作品です。そういえば本学の図書館に芸能人のさんまさんが司会をした『ピーターと狼』がありますね。(請求番号XD9023) 加えて、青少年のための管弦楽入門はベルリオーズと親交があったことから、彼の著書「管弦楽法」も影響を受けているのではないかと思います。(群馬の県立図書館にあるのでぜひ見てみて!)

○アブデラザール組曲
この曲の冒頭、引用元になった曲があります。

バロック時代に活躍したヘンリー・パーセルのオペラ《アブデラザール》より。
オーケストラ版の壮大な感じと違い、こじんまりしている印象があります。
この曲を主題(テーマ)にして、オーケストラ→木管→金管→弦→打楽器→オーケストラと演奏します。
次に、楽器の特色を生かしたメロディが演奏されます。
最後に、フーガ(ピッコロから始まって皆でおいかけっこをする)からの締めに入ります。

○変奏する楽器の順(A,B…はVARIATIONの記号)
A・フルートとピッコロ Presto
B・オーボエ Lento
C・クラリネット Moderato
D・ファゴット Allegro alla marcia
E・ヴァイオリン Brillante: alla polacca
F・ヴィオラ Meno mosso
G・チェロ
H・コントラバス Cominciando lento ma poco a poco accel. al Allegro
I・ハープ Maestoso
J・ホルン L'istesso tempo
K・トランペット Vivace
L・トロンボーンとチューバ Allegro pomposo
M・打楽器 Moderato
ティンパニ 大太鼓とシンバル タンブリンとトライアングル
小太鼓とウッドブロック(木魚) シロフォン(木琴)
カスタネットとタムタム(銅鑼) むち

トロンボーンとチューバが一緒というところに疑問を感じた方はいますでしょうか。なぜかと言うと、チューバはトロンボーンの4thとしての立ち位置だからです。ホルンは4人居るのに対して、トロンボーンは3人(1st,2nd,バストロンボーン)です。
動きもハーモニー(和声)をつくるトロンボーンとほぼ同じ役割だからという理由もあります。

○VARIATIONの楽器と調について
これを作成する前、(当たり前だけど)転調に至るまでの過程に着目すれば演奏が豊かになるのではと思いました。案の定、転調する前に予兆がありました。ヴィオラとチェロに至っては発想記号が変わっていません。
この当たり前かつ自然な和声進行に着目している学生は…いないですね。先に言うと、セクション内で完結している感があるので、そこで満足してはいけないし、ちゃんと前のフレーズからバトンタッチしなければなと改めて思いました。

A/G dur/
B/H dur/ FlのGからObのGに受け渡し。Bの2小節目からチェロバスによりH durの形成→終わり4小節でチェロバスにB durの予兆あり。          
C/Bdur/ Cl solo最後の小節[G→A→B→A→G→F→E]からVARIATION Dのa mollへ突入。
D/a moll/ 最初はa moll Ⅰの和音第二展開形から開始。フレーズの最後はCdurで終止。そこから本格的に最後の小節の2ndファゴットによる順次進行によって、VARIATION EのG durに入る。
E/Gdur/最後は半終止で終わり、ヴィオラに受け継がれる。
F/G dur/G durという設定ですが、実質最初はD durですね。下行でF dur。そこから分散和音で様々なコードを弾いて、最後チェロにつながれるようにFisで終えます。
G/H dur/ヴィオラのFisを受け継いでFisから始まります。H durの五の和音から始まっているということです。実質最初はFis durと思っても良いでしょう。色んな調性で展開されていくのですが、最後は半終止でFisで終わっています。
H/G dur/久しぶりにⅠの和音…といっても増三和音です。前のチェロのFisから木管の[G・H・Dis]を貰って、第一展開形の[H→Dis→Fis]から始まり、8つ弾いてG durの下行からの突然の上行。そこから先は純粋なG durが続き、平行調のe mollへ。導音の[Dis]のフェルマータの後、異名同音の[Es]からEsdurとして分散和音。そしてまたG durに戻るという面白い進行。
I/Des dur/前に4小節の遊びがあってから、Des durで安定して和声進行が行なわれる。
J/F dur/3小節間はDes durを引きずっています。[Des・F・A]の第三音である[F]を用いてF durに晴れてなるという構成です。しかし、ハープの情景を引きずっていますね。緊張と緩和という手法ですね。
K/F dur/基本的に安定しています。トランペットが終わってチェロが盛り上げてLに入るのですが、そこで次のE durの要素が見えます。
L/E dur/基本的に安定しています。
M/C dur/いろんな調へ動くのですが、基本的にC durのスタンスでいます。

●私のイチオシポイント
フルート/テンポが速くて、アンサンブル能力を必要としています。でもその軽快さと緻密さがこの場面の魅です。
オーボエ/ヴィオラによる前奏があり、華麗に歌われます。cbのpizzicatoにより、盛り上がります。
クラリネット/中音域から高音域まで目まぐるしく動きます。テンポは言うほど速くないです。高い音がパーンと出たときの響きを客席で体感してください。
ファゴット/ダブルリードは心にしみますね。              ヴァイオリン/最低音から輝かしく上行するところや1st,2ndの掛け合いが見どころ。                              ヴィオラ/前のヴァイオリンのpizzicatoからヴィオラの旋律が自然に受け渡されています。まるで夜の湖にいるかのような幻想的な場面です。2人のヴィオラが旋律を奏でてチェロに受け渡されます。             チェロ/ヴィオラと1オクターブ音域が違うため、チェロとしては高い音域で始まります。技術的に出だしが難しいのですが、ヴィオラの音域とテンションを受け継ぐ事ができたら、とっても良い演奏ができます。最後音域は低めになっていきます。(コントラバスにつなげるためでしょう)      コントラバス/チェロの旋律を受け取り、かつ木管の前打音を表拍で貰い、1拍裏からでます。G durの素材で作られているので、まだ引きやすい方ですが、下行前の「Cis→D→E」は半音分のポジション移動が必要で音程が非常に取りにくいです。最後、上行系で終わりますが、木管がその後下行系なんです。
ハープ/グランドハープは全てのペダルを解放したら in Cesというややこしい楽器で、今回ののソロは Des dur で書かれています。ペダルがあり、基本は(踏まないと)フラット系の調律。1段階踏むとナチュラルの調律。2段階踏むと、シャープ系の調律になります。
今回のソロはDes dur(Des,Es,F,Ges,As,B,C,Des)なので、FとCが出てきたときにペダルを1段階踏むことになります。
今回ソロを務める某岡山美人によると、地味にやりにくいそうです。   ホルン/ホルンのイメージが表れているのかなと。(cbは休みなので記憶がない)                                トランペット/2拍子系のファンファーレのような感じです。トランペットとスネアドラムとの相性が良いですね。最後、弦楽の上行によって次に受け渡されます。                             トロンボーン・チューバ/Eの音の8分音符を受けて、まずはトロンボーンが。次にチューバが旋律を奏でます。個人的に結構好きな場面です。     打・鍵盤楽器/6/8拍子でティンパニを始めとして様々な打・鍵盤楽器が活躍します。まるで森の中で探検しているかのよう。

弦は上がったり下がったりジェットコースターだなと思っています。なかなかつらい…(笑)聴いている分には楽しいですよね。

以上で楽器紹介は終わりです。その後はFUGAなので省略です。

○おわりに
この曲マイナーだと私は思っているので、小中高の音楽教室のプログラムでもっとやってほしいですね。
私はCDで名曲集とかっていう、楽章とか関係なしに(ベートーヴェンの運命が一楽章のみ演奏とか)嫌いなので、単発でこういう方が良いです。
ハープについて教えてくださった岡山美人さん、ファゴットのところの調判定してくださった方々ありがとうございました。

言い訳ですが、私はハーモニー(今回は調判定と和声の分析)が苦手です!間違っているかもしれないです。できれば、乗り番の方全員に裏をとりたかったくらい不安。

参考
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%85%A5%E9%96%80
http://www.smf.or.jp/wp-content/uploads/08.pdf#search='%E9%9D%92%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%85%A5%E9%96%80+%E8%AA%BF'
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