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勉強しない子どもの理解と対応

受験生の子どもが勉強しないことに困っているなど、勉強しない子どもに不安や困り感を抱えるご家族は多いです。今回は心理士の視点から対応方法について検討していきたいと思います。筆者の運営する広島、山口、沖縄、大阪、東京の5店舗ある認知行動療法カウンセリングセンターでは勉強の習慣化などの困りごとにも日々対応しております。

勉強は習慣化しているか

習慣化は日々ルーティンとして行う行動のことです。例えば、歯磨き、入浴、着替え、食事などがそれにあたります。病気を患う、転居などイレギュラーな事態がなければ基本的に一度定着した習慣は変わることはありません。一瞬変化したとしてもすぐにまたもとの状態に戻ります。ダイエットや筋トレを始めたは良いもののすぐに前の状態に戻ってしまうのも習慣した行動がある故です。それほどまでに習慣というのは協力なのです。なので、幼少期より読書や勉強の時間を習慣化しておけば勉強習慣は身に付きやすくなります。進学などに伴う環境変化が習慣を変化させることもあるため注意は必要ですが。
家族からの<勉強しなさい>との促しに対して「分かった。後でやるね」との応答により勉強をしなくて済むという経験を繰り返している場合には、このやりとりのみが習慣化され結果的に勉強はしないことも多々あります。

お子さんの習慣チェック

お子さんが学校に通われている場合には、帰宅から就寝までの行動をわかる範囲でチェックしてみましょう。学校に行っていない場合には一日の行動ををチェックしてみましょう。できれば1週間ほどチェックしていただくことで習慣を把握することができます。1週間チェックしてみて勉強している様子がなければ勉強は習慣化していないということになります。その代わりに、ゲームや漫画、友人との連絡など別の行動が習慣化されていることになります。習慣化する行動は本人にとって楽しいことか、必要に迫られたもの、昔から習慣化されたもののいずれかになります。ゲームの新作ソフトなどを購入すると一時的に習慣の中にゲームが入り込みますが、全クリしたり飽きると元の習慣に戻ります。

筆者の学生時代

私は中高生時代勉強が大嫌いでした。やっているフリをしては漫画を読んだりゲームをしていました。そのため成績は散々なものでした。進学先も選択できないほどで、学校の先生から赤信号状態であることを告げられたほどです。それでも勉強はしませんでした。当時を振り返ってみると、もう何をやっても挽回することはできないと諦めていました。そのような状態でも救済策はあり、面接だけで入れる大学もいくつかありました。それを利用して大学に進学しました。心理学系の大学に入ったのですが、心理学は国語や社会と異なり関心があり楽しく勉強することができました。それからは寝る間も惜しんで勉強するようになりました。勉強しているというより、ゲームをしている感覚に近かったかもしれません。ただただ夢中になれたのです。ですが、やはり興味がないことには一生懸命になれませんでした。私の場合は、心理学という夢中になれるものが見つかったため結果的に勉強に専念できましたが、それがなければ今どうなっていたのか分かりません。

お子さんに夢中になるものや、やりたいことがあるのであればそれは勉強ではないかもしれませんがきっとそれがキラリと光る何かになるものだと思います。なので、お子さんが好きでやっていることも要チェックしてみてください。勉強はしないけどアルバイトは一生懸命行うお子さんもいます。それも大切なことです。

勉強習慣をつけるには

勉強習慣をつけるにはさまざまな方法があります。どれがお子さんに合うかは試してみないと分かりません。

1.幼少期より勉強習慣を身に着ける
まだお子さんが幼いのであれば、家族と一緒に読書や勉強する時間を作りましょう。そしてその時間がなるべく楽しい体験になるようにしましょう。どんなことを学んだかお子さんに聞いて、そこに関心を向けても良いかと思います。

2.勉強はしないが興味あることには一生懸命な場合
興味あることを全力で応援することもありだと思います。それを応援されたことは記憶にも残り、さまざまなことに一生懸命取り組める可能性があります。勉強以外に一生懸命になれることに目を向けてみましょう。

3.勉強する必要性を提供する
例えば、勉強をすることでゲームやスマホを使える時間が増えるなどお子さんにとってモチベーションが上がるプランを検討します。その際、80点とればゲーム時間が1時間増えるなどの無理難題ではなく、1日10分でも勉強すれば1時間ゲーム時間が増えるなどお子さんにとって都合の良い条件からスタートするのがポイントです。主体性に任せてやってもやらなくてもよいことにしておきましょう。もう一つ大切なのはルールに例外を作らないことです。勉強をしなくても無制限にゲームやスマホができるのであれば、勉強に必要性は感じません。やるもやらないも自由だが、やならないとゲームやスマホ時間は限定的にしておくことが大切です。ホテルや旅館にもさまざまな規則があるように家庭においても規則を設けるイメージです。

4.見通しや希望をもってもらう
勉強をしない日々が続くと勉強は苦痛なものになります。苦痛なことは続きません。まずは比較的興味がある科目をできるところからスタートするのも良いでしょう。できれば受験などが始まる前にやるのがよいでしょう。同時に、この勉強を積み重ねればなんとかなるという希望をもてるようサポートしましょう。

5.真剣に話し合う
人はどうしても衝突を避けたくなります。勉強について心配はしていてもそれを言うことで衝突になることはしんどいのです。そのため真剣に話し合う機会を損ねてしまう場合があります。真剣に話し合うことは負担になりますが時には大切です。

6.自信をもってもらう
自信は可能性を広げてくれます。逆に不安は可能性を減らします。家族がお子さんが頑張っていることを発見し評価することは自信につながりそれが自発的行動を促すこともあります。

7.リミットを決めておく
〇歳までは無条件で支援するがそれ以降は自身でなんとかしていくという家庭からの卒業リミットを決めておくのも良いかもしれません。お子さんの状態にもよりますが。

8.さまざまな選択を一緒に考える
勉強をして進学する道、勉強せず就職する道など、人生のさまざまな選択について一緒に考えてみましょう。その際、どの選択にも一長一短あることを念頭にいれつつ話し合いましょう。

どれか一つの方法を試しても良いですし、複数の方法を組み合わせても良いかと思います。注意が必要なことがあるとすれば親のかかわりが変化するということは良くも悪くもお子さんに影響を与えます。そこに注意しながら一歩踏み出してみましょう。

まとめに

まず大切なことはお子さんとの関係性や普段のかかわり、お子さんの習慣を見直すところから始まります。そのうえで、ご家族がかかわりを可能な範囲で変えていくことがお子さんが変化してくることもあります。それでも変わらない場合は、それがお子さん自身の選択だということかもしれません。私も親の言う通りにはまったく育っていませんがそれなりに元気に過ごしています。
もしカウンセリングなどのサポートが必要な時がありましたらいつでもご連絡お待ちしております。


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