Burning Bright
Kindle版スタインベック全集の12個目、邦題は「爛々と燃える」1950年の作品です。お芝居の脚本を物語にしたものです。面白いです。
登場人物は4人。ガッチリした初老の男、ジョー・ソール。若く美しい妻、モーディーン。頼りになる友人、フレンド・エド。青年ヴィクター。
第一幕は衣装用トランクのある小さなテントです。サーカスの音楽や歓声が聞こえます。花形軽業師ジョー・ソールがイラついているところに道化姿のフレンド・エドが入ってきました。ジョーは子どもの居ないのを悩んでいるのでした。次にジョーの相手役のヴィクターが手首に包帯を巻いて入ってきます。遊んでいて痛めたとか。しばらく演技はできない。ジョーはヴィクターの頬を平手で軽く叩き、出ていきます。
モーディーンが入ってきて化粧を落とし始めます。ヴィクターが言い寄るのを厳しくはねつけました。エドとモーディーンはジョー・ソールの苦悩を共有。子どもの頃に病気で高熱に晒されたと言っていた。おそらくそのせいでジョー・ソールは不妊なのだろう。ジョー・ソールの魂が満たされるのなら私はどんなことでもします、とモーディーン。
再びヴィクターが入ってきて、ジョーがバーで飲んだくれていると言いました。エド、あの人のそばにいてあげてちょうだいとモーディーン。エドが出ていくとヴィクターを誘惑します。どういう風の吹き回しかと訝しみながらもヴィクターは、それならこれからドライブして食事をと乗ってきました。
第二幕は農場主のキレイに片付いたキッチン。ジョー・ソールと隣人のフレンド・エドが話しているところへモーディーンが出てきて、妊娠したことを告げます。医者に胎児のレントゲン写真を見せてもらったと。歓喜するジョー・ソール。ウイスキーで乾杯。パーティーの支度だ買い出しだと二人で出ていきます。そこへ住込みの助手のヴィクターが入ってきます。
俺はわかっている。自分の子に触ることもできないのか。何を言うの、この子は私達夫婦の愛情が創り得たものよ。ああ俺は孤独だ…
舞台では季節が移り変わりクリスマスシーズンになりました。ジョーとエドが大きなクリスマスツリーを運び込みます。来年はここに我が子がいるのだ。そうだ、これから生まれてくる子へ何かプレゼントを贈りたい。父親の健康の証しはどうだ。これから医者へ行って隅々まで検査をしてもらおう。エドが必死に止めましたが…
第三幕は船室。マントルピースの上には小さなクリスマスツリー。船員のヴィクターが入ってきました。誰なの?ジョー・ソール?奥の部屋から出てきたモーディーンは陣痛をこらえています。さあ俺と二人で行くのだ。全てを打ち明けよう。ダメよ。モーディーンはナイフを手にします。ドアに立って見ていた船長フレンド・エド。ヴィクターを無理やり連れ出して甲板へ。物音に続いて何か海に落ちた音がしました。エドは一人で戻るとモーディーンの手からナイフを取り上げました。
そこへジョー・ソールが入ってきます。激怒と絶望。医者が止めるのに、無理やり見たのだ。顕微鏡の下で滅びている自分の精子を。怯えるモーディーン。
エドがジョー・ソールを諭します。醜いエゴの為に愛を台無しにするのか?贈られたものを寛大に受け取らねばならない。
第三幕のシーン2は白い病室。横たわるモーディーン。入ってきたジョー・ソールは外科医のような白衣と顔はマスクで目だけが出ています。全ての男は父だ。全ての子どもは、父の子だ。
最後はよくわかりませんでしたが、どうやらおさまったようです。問題作ですね。
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