のぞみで行くからね

2008年11月3日
(他愛なくも馬鹿馬鹿しい旅行記です)




旅が始まります。
そうです、N700系で東京駅からの出発です。

入線してるのになかなかドアを開けてくれない。

もう少し窓を大きくしてね、ヒコーキじゃないんだからさ。

日本人特有の行動なんだろうけど、座席指定なのにキチンと並んで、そんでもって我先に乗り込む人びと。

遅ればせながら定位置に着席します。
乗車率は三割程度。
おじさんの周囲にはまったく人がいません。
このままガラガラ状態で目的地まで行けるとラッキーです。
とにかく早く発車して下さい。

目的地はコチラ。
切符拝見制服男に汚されないうち、写真に収めます。
いよいよ出発。

さて、ここで朝食タイムです。
売店で、大好きな山菜おこわとお赤飯のおにぎり計二つ、そしてお茶を購入済みなのです。
有楽町通過とほぼ同時に、ということは発車とほぼ同時とも言えるわけですが、都心の景色を見ながら摂取を開始します。
まずは山菜おこわから。
この時期に山菜ってどうなんだろ?、などのギモンは排除して、浜松町や田町駅ホームに立ち尽くして山手線を待ってる月給取りのおじさんやお姉さん方へ、シッカリ働けよとエールのテレパシーを送りつつ、まず山菜おこわの摂取完了。
やがて我がのぞみさんは品川駅ホームへ滑り込むのでありました。

何ということでしょう。
品川駅からドカドカと大量の老若男女、有象無象が乗って来ます。
広いリビングで一人悠然と我が世の春を謳歌してたのに、あっという間にほぼ満席になってしまったではありませんか。
リゾートホテルの50畳ほどの広さのリビングに一人状態だったのが、南千住駅徒歩25分、築30年四畳半風呂なしトイレ共同のアパートに一家4人で暮らしてます状態となり、車内はにわかに騒々しくなって来ました。
別に南千住に偏見はないんだけど、そんな(どんな?)感じです。

おいJR東海よ、品川駅を造ったのは許すが、それは東京駅ホームのキャパが不足したからだろう。
だからやっとこさ品川始発の列車をダイヤに組み込めたんだろ。
だったらコヤツらは品川始発に乗せなさい。
速さが売りののぞみが品川なんぞに停まって、それで時短が出来るのか。
オマケに新横浜にも停まるらしいじゃないか。
東京駅を出たら、名古屋までノンストップで行け!
そして乗客よ、品川からドカドカするんなら、品川始発に乗れ!
それがイヤなら東京駅からドカドカしろ!
横着するんじゃないっつーの!
おじさんは分別あるから怒りは顔に出さないけど、フンガイしてるんだぞ!
穏やかな顔を作ってドカドカを見守ってるけど、すっごく納得いかないぞ!
でも隣の席に若いお姉さんが座ったから、今日のところはすべて許そう。
ウレシイぞ!

車内がまだザワザワしてるので、食事は一時中断です。
新横浜を過ぎたら、残りのお赤飯のおにぎりをオモムロに摂取するんだもんね、と今後の方針を立て、しばし車窓を楽しみます。
ったって、多摩川渡って鶴見や川崎のゴチャゴチャした町並み見てても感動はないんだけど…。

それよりも今は隣のお姉さんです。
若い頃は積極的に声掛け運動を推進して来たおじさんですが、もうこのトシになるとそんな軽挙妄動はしないのです。
まあ取りあえずいきなりの接近戦なので、充分に傾向と対策を練らなければなりません。
どのような質疑応答をするかもポイントです。
よし、新横浜を出たら、ニイタカヤマノボレでもトラトラトラでもいいんだけど、突撃を開始しよう。

「どちらまで?」
「え? あ、はい、京都まで行きます」
「それは奇遇だ、私も京都なんですよ」
「偶然ですね」
「いえ、必然でしょう、神の采配だと思います」
「神様っているんですね、お一人ですか?」
「ええ、ふらりと京都の町を歩きたくなりましてね」
「私も一人なんです」
「予定はお決まりですか」
「まだ何も決めていないんです」
「こうして知り合ったのも何かの縁、ではご一緒に散策などいかがですか」
「甘えてよろしいんでしょうか」
「どうぞ遠慮なさらずに」
「それではぜひお願いします」
「ところで宿はお決まりですか」
「実はまだ何も決めていないんです」
「広い部屋の宿を予約してあります、よろしかったらいかがですか」
「まあ、うれしい!」
という進行が確実に予想されるのであります。
その後は、もちろんああなってこうなって、ついにそうなっちゃう予定なのであります。

新横浜で満席になったのぞみさんは本気を出して加速を始めます。
ヒコーキなら充分に離陸できるスピードです。
でもここで飛ばないのが新幹線の良いところで、しっかり地ベタを走行し続けるのです。
ニイタカヤマノボレは後にして、とりあえず残りのお赤飯のおにぎりを摂取しなければいけません。
ところが、ここで隣のお姉さんがお弁当を取り出しました。
二段重ねの豪華弁当です。
フタを開けたところをチラ見しました。
四分割に区画整理された一段目には、煮物や焼き物やかまぼこやお漬物やフルーツなど。
そしてモンダイは二段目なのです。
うーむ、ご飯が隠れるくらいに牛肉が乗っかってます。
ショーユ風味が漂って来ます。
見たことあるけど、コレは確か2,500円のお弁当です。
それに引き換え、こちらは120円のおにぎりが一個…。
思わずおにぎりを引っ込めました。
大好きなお赤飯なんだから別に構わないハズなんだけど、なぜか引っ込めました。
スバヤク計算したけど、2,500円ならお赤飯のおにぎりが20個も買えるんですよ。
100円のお釣りまであるんですよ。
でも20個なんて食べられないし飽きるし…。
言い知れぬ敗北感に打ちひしがれ、おじさんはペットボトルのお茶を取り出してチビチビ飲みながら、流れ行く車窓の風景を見続けたのでありました。
お姉さんへの関心はすっかり消えて無くなりました。
静岡を過ぎるころ、お姉さんはお弁当を完食したようです。
死んだ動物の肉は、さぞ美味しかったことでしょう。

しばらくしてお姉さんは席を立ち、化粧室へと向かいました。
チャンス!
このわずかな時間を逃さず、おじさんは急いでおにぎりを口に詰め込んだのでありました。
突然、メールが来ました。
『赤福食べますか?』
遠慮する旨の返信をしました。

おじさんもトイレに立ちました。
一応、ついでに車内をチェキします。
お隣は緑車両。
ヒエラルキーのトップに君臨する方々や、エスタブリッシュメントの方々がご利用されるようです。
もちろんご利用は計画的なんでしょうね。

こちらはフツー車に乗車中のフツーの庶民の方々。
意味もなく車内を撮ってみました。
全員が進行方向を向いて着席しています。
ということは、この列車に何百人乗ってるかわかりませんが、ことごとく西を向いてるんですね。西方浄土状態です。
たまに東向きに座席を回して歓談中の人もいるようですが、北とか南を向いてる人は一人もいないようです。
どうでもいいことだけど…。

まもなく名古屋です。
逆さホタルのじいさまも高級そうなお弁当を食べてました。
ワックスが効いてて、良い具合の輝きです。

名古屋駅のホームに差しかかります。
隣のお姉さんも荷物をまとめて、ここで下車するようですが、こちらには降りて貰わないと困る事情があるのです。
肉ばっかじゃなく野菜も摂取して、栄養のバランスを心がけましょうね。
ここで気付いたんだけど、おじさんは結局、一度もお姉さんのお顔を拝見いていなかったのです。

おじさんが一人旅すると思ったら大きな間違いで、今回も妻が一緒なのです。
無事会えてヨカッタ。
義母と妹夫婦と4人でお伊勢さんへ出掛けた帰途だったのです。
早々に3人が乗った東京行きの新幹線を見送り、取って返して今度は夫婦で旅行というスンポーなのです。

実は赤福のメールをくれたのは彼女で、その気配りや優しさは相変わらずです。
また一緒に旅をするんだもんね~(^^)v
その妻は、まだお姉さんのヌクモリが残っている座席に落ち着きました。
あれやこれやは黙ってよう…。

無事に合流できたことで安心し、ゆっくり車内を観察する余裕も出てきました。

おいそこの坊主、せっかくのぞみさんに乗ったんだから寝てる場合じゃないだろ!車窓を楽しめ!などと子供に喚起を促します。
思ってるだけで、もちろん口には出しません。

京都駅到着

相変わらずの京都駅。
毎回思うのですが、これだけの空間が必要なのでしょうか。
建てちゃったものは仕方ないし、京都の景観条例がどうなってるかもわからないけど、もう少し高さを抑えられなかったのでしょうか。

紅葉情報とはなかなか親切です。
でも「あ、まだ早いのかあ」と引き返す観光客なんていないんでしょう。
もちろんわしらも引き返しません。

まだ二ヶ月近くも先だけど、駅構内から出ると、京都はすでにクリスマスでありました。
さあ、観光するぞっ!

次回「七条通を行く」へ続きます。





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