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設計事務所つれづれ~ウイルスを持ち込まないリフォーム~

こんにちは。設計事務所DesignLab.Merzです。前回に続き、今回も例として中古マンションの事例をもとに「ウイルスを持ち込まないリフォーム」を説明します。第2波が来るといわれる新型ウイルス。また感染が拡大する前にご自身の住宅と見比べてみてください。

1.防疫ラインと衛生ラインの設定

前回も書きましたが、まずウイルスを「自宅内に持ち込まない」ことを意識し、防疫ラインを検討します。

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こちらのマンションを例とします。自宅内にどのようなルートでウイルスが持ち込まれるか?を「行動動線」で検証してみます。

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赤線で記入した部分が「行動動線」です。普段住宅を使う際に行動する(移動する)線ですので、この行動動線上にあるもの(壁の角や建具、家具など)は接触している可能性が高く、飛沫感染より接触2次感染(手で触れる→顔や口元に触れる→感染)の危険性が高くなると考えます。

2.住戸内換気ルートを検証する

住戸内の換気は、外部の風の強さでなく「室内の温度差」と「窓の位置」にて決まります。

以前も書いたように、冷やされた空気は暖められた空気に引っ張られていく性質がありますので、外部面で考えると「北面」のほうが空気が冷たく「南面」のほうが空気が暖められています。

また、窓の高さなども関係します。暖められた空気は上昇しますので、上方に窓があると空気の流れを生みやすく、冷たい空気は下降する性質があるので、足元などに存在し、暖められると上昇していくようになります。

このことを理解し、住戸内で「ウイルスの進入していない範囲での換気」を考慮しつつ、ウイルスを食い止める「防疫ライン」では、新たに機械式換気などで換気を行うといった考え方をリフォームに取り入れます。

3.ウイルスを持ち込まないマンションリフォームプラン

前にも作成しましたように、今回もテーマを決めてプランを紹介します。

1.外部からのウイルスを持ち込まないよう「防疫ライン」の設定

2.防疫ラインに近い「衛生ライン」の設定

3.コートなども室内に持ち込まないような「衣服の分別」

4.外出自粛時に軽い運動ができるような「可変性のある居室」

5.万が一感染者が発生した際の「隔離」と自宅でのワークスペースを兼ねた部屋

この5項目をリフォーム案として作成しました。

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ピンク色にしているところが「防疫ライン」玄関部分でウイルスの進入を食い止めます。同時に、玄関に手洗い器を設け、常に手洗いが行動動線上にあるようにします。

水色の部分は「衛生ライン」。帰宅時に来ていたコートなども洗面室に隣接する「隔離収納」に収め、この場所で抗菌します。

帰宅時の衣服を着替え、手洗いやうがいなどを済ませた上で、自宅内に入ります。

リビングなどはできる限り「個室にしない」よう考え、室内全体の空気換気が行えるように、空気の流れを考えます。

このほうが、最近のエアコン等の能力を考えても、台数が少なく済み、省エネにもつながりますし、リフォーム時に「断熱性能」も考えると、さらに省エネにつながります。

共用の収納を挟み、感染者が発生した際の「隔離スペース」を設けています。このスペースは、できる限り「衛生ライン」に近づけ、自宅治療を行う際でも居住部分と感染者スペースを隔離し、しかし、生活の声などは行き届くよう、天井をつなぐようにしています。普段は、リモートワーク用の部屋として、生活音などを極力避けるよう、扉などで分別するような設計です。

フリーコーナーは、壁などで仕切らず、動かせる家具などでスペースを自在に変更できますので、外出自粛時の軽微な運動などができるような空間が自在に作れるよう「変化する部屋」として設けています。

全体的にはキッチン部分から室内全体の様子がうかがえるように配置し、外出自粛時や感染者発生時の不安を少しでも解消できるようなプランとして考えました。

リフォーム工事費については、通常の間取り変更リフォームに比べ、壁などを作る工事が少ないので、工事費を抑えることも可能です。工事費を抑える分、換気設備や断熱仕様に予算を振り分け、長く快適に住めるような資金分配が可能となります。

4.まとめ

今回も参考としてマンションプランを作ってみました。今だからこそ、お住いの間取りを見直してみてください。

有償にはなりますが、ご連絡をいただきましたら「現在の間取りチェックと防疫ライン設定アドバイス」なども行います。ぜひ一度ご検討ください。

最後に、今回の提案をパースにしていますので、イメージとしてご覧ください。今回も読んでいただきありがとうございました。

株式会社デザインラボ・メルツ 代表取締役 安田和人

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