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スマホはすごい

 スマートフォンは、電話のできる小さなパソコンである。従来型の携帯電話にインターネット機能を搭載したもので、この発明は組み合わせの妙といえる。一人一台持っているといっても過言ではなく、先進国で75パーセントの普及率を誇る。

 携帯端末がスマートになったことで、できることは飛躍的に増えた。従来からある電話、メールについてはいわずもがな、カメラの画質は上がり、検索の利便性は増した。さらには、動画の視聴が容易になり、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で個人の考えを発信しやすくなった。多数の利便性を享受するためにわたしたちはスマホを手に入れ、肌身離さず持ち歩いている。スマホを忘れたら落ち着かず、バッテリーが切れたらパニックになるのは、それだけスマホが身近なものになったことの裏返しだろう。

 スマートすぎていろんな面倒もある。常に持っていて当たり前なので、メールはすぐに返信しなければならない。届いていないというと送信履歴を見せられるから、知らん顔できない(ほとんどは迷惑極まりないものである)。食事が出てきても、すぐには食べられない。映え写真を撮らなければならないからだ。「出したてが美味」といって食べると空気の読めないやつと思われる。食事に来たのに、先にSNSに投稿する人もいる(「いいね」を押させられる人の身になってみろといいたい)。メッセージアプリには「既読」の文字が付き、すぐ返さない場合や、無視した場合、これまた責められる。動画がおもしろくて見ていると学校や会社に遅れ、勉強や仕事が手につかない。親や上司に怒られる。

 スマホは技術革新の弊害である。スピーディな返信と高評価を多くの人から強要される。着信や通知がとまらない。物事の本質を見失わせ、必要以上に人を怒らせる。時間とお金を奪い、広告をまき散らしている。それでもなお、多くの人が持ち続ける。

 スマホはすごい。

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