アナタはなにをしていますか?
「アナタはなにをしていますか?」
英語で言うと
What do you do?
What’s your job?
What do you for a living?
こんな感じでしょうかね。
わたしはただいま無職です。
そして独身です。
この猛暑の中、50歳になりました。
なぜ人は、というか日本人は、
というべきなのか、
街角インタビューや何かの講習でも
決まり文句のように
「アナタはなにをしてますか?」
つまり、お仕事はなんですか?
もっと突っ込むと、なにで生計を立てていますか?アナタの世間的な役割はなんですか?
といった、非常にデリケートでバリバリにプライバシーど真ん中の質問をするんだろうか?
どうやって生計を立てているのか?
なんて
冷静に考えると
随分と個人的なことを初対面の他人に聞くよね?と思う。
この間、とあるアートスクールの講座に参加した。まずは授業にはいる前に自己紹介をしてください、と講師が言い、話して欲しい項目をホワイトボードに書き始めた。
そこでもやっぱり、
「(差し支えなければ)アナタのお仕事は?」が自己紹介の項目に入っていた。
参加者のみなさんは
差し支えもなにも、この項目に触れることをなんら疑問にも思っていないかのように、必須項目として、「わたしは○○をしています。」を発表していた。
偶然なのか、これが世の中普通なのか、
この講座の参加者は、そんなお仕事があるのね〜と関心を持つものが多く、みなさん立派だった。
いまはお仕事をしてなくてもお子さんがいて主婦だったりと、一瞬わたしと同じかしらと思いきや、同士ではなく、ちゃんとしていた。
わたしの番がやってきた。
必須項目を言うか、はぐらかすか。
いや待てよ、恥ずかしいことをしているわけじゃないのに、なぜはぐらかす必要があるの?
などと脳内ひとり会議をしながら数分悩んだ結果、
「いままでは制作に携わっていましたが、いまは自由人です!」
と精一杯堂々と紹介していた。
見栄を張った。張ってしまった。
質問者がデリカシーがないなんて思うよりも、
非常にちっぽけな見栄を張った自分のほうが何倍も恥ずかしかった。
自分のお金で無職を楽しんでいるわたしは、心のどこかで人様を気にしながら無職を楽しんでいるひと、だったようだ。
そうか。
そうだったのか、自分よ。
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