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人は、繋ぐために、伝えるために生まれてくる。

2009年の秋、かつて先輩が雇われ店長をしていた地下のバーがどうなっているか気になり、寄ってみた。

白髪まじりの短髪オーナー自らカウンターに立ち、シングルモルトがカウンターに並ぶ「若者お断り」感満載の店になっていた。

何をオーダーしたのか覚えてないのだけど、とにかく沢山の絵が飾ってあり、ボトルやコースターにも描かれていたのは印象に残っている。

聞くと、黒田征太郎さんがニューヨークから北九州に移住し、このバーで毎日のように描いているとのこと。

名前の記憶はあったけれど、あまり確かではなく、絵を描く人と言うよりテレビに出る人という印象。
ただ、鳥や花、そして上手いと言えるかわからない人の絵など、こんな絵を描く人と会ってみたいと思った。

そしてバーに通い、何度かお会いし、私の店にも寄ってもらうようになり、いつしか毎日のように朝までご一緒させてもらう仲になっていた。
ライブペイントやったり、旅をご一緒したり、鹿児島での個展プロデュースなど、新しい経験も沢山させていただいた。

しばらくして、石橋凌さんのライブポスターを手掛けられたとのことで見せていただくと、そのコピーが、
「人は、繋ぐために、伝えるために、生まれてくる」
だった。

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それまで、「人生なんてどうにかなるものよ」と思っていた私。40才を過ぎてから「人って何のために生きているのだろう」という遅いモラトリアムを迎えていて、何だか答えのようなものに近づけた気がした。
きっと「絵を描くことが好き」でそれだけをやり続けてきた黒田さんの言葉だから、スッと腹落ちしたのだと思う。ちょっと大人になれた気がした。

あれから何年経つのでしょう、いまだに答えのない人生を送っているけど、それを求めない人生でいいのかもと思うようになった。

最近読んだ本に、

「俗に言う「トロッコ問題」(このまま進むと5人死ぬ、進路を変えたら一人死ぬってやつ)なんて、よくできた知的ゲームだけど、そんなゲームに興じても、日々の暮らしをどう生きるかには何の影響も与えない、全くの役立たずだ」
と言う一節がありまして、

まあ私の方向性、スジは悪くない。
楽しく笑って考え続けようと思っているところです。

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