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【シン・卯月絢華のシネマ馬鹿】【ネタバレ大盛】Vol.28 DOGMAN/ドッグマン

※当たり前の話ですけどガンダムSEEDFREEDOMの4DXと鬼滅の柱稽古編、そしてQueenのIMAXはノーカンとさせていただきます。

原題 DOGMAN
見に行った場所 109シネマズHAT神戸
フォーマット 2D字幕
個人的評価 ☆4.0(Filmarksでの個人的評価)
備考 PG12指定(犬は無事です


イントロダクション

フランスが生んだ大天才、リュック・ベッソンの最新作。実在の事件をモチーフにメガホンを取ったノワールアクションとなっている。
ザックリと説明すると「犬を連れたドラァグクイーンの青年が犬と共に巨悪に立ち向かう」といった感じのストーリーであり、リュック・ベッソンらしく切ない描写で描かれている。
ドラァグクイーンの青年を演じるのはケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。『X-MEN』のアイツといえば「ああ!」ってなること請け合い。
なお、本作はヴェネチア国際映画祭で大喝采を浴びている。ここの所パッとしなかったリュック・ベッソンだが……果たして?

あらすじ

ある雨の夜。1台のトラックが検問に引っかかった。
トラックの運転席には傷を負った女装の青年が座っており、荷台には無数の犬が積み込まれていた。
現行犯逮捕された青年は、拘置所で精神科医の女性に自分の半生を語り始めた……。

青年の名前はダグラスといい、横暴な父親とそれに怯えるしかない母親、そして父親の言いなりになるしかない兄との4人暮らしだった。
ある日、兄の密告で犬小屋に放り込まれてしまったダグラスは、そこで納屋に積まれていた雑誌を目にする。その雑誌は母親が愛読していたファッション雑誌であり、彼の人生に大きな影響を与えることになる。
しかし、父親の虐待は次第にエスカレートする。エスカレートした挙げ句ショットガンで撃たれたダグラスは、指の多くを失うと同時に脊髄も損傷してしまう。
犬の1匹に自分の指を託したダグラスは、警察の通報もありようやく犬小屋から脱出することに成功した。そして、養護施設に保護されることになった。
養護施設で孤独な日々を送るダグラスは、サルマという教師に恋をする。彼女は演劇が好きであり、ダグラスとシェイクスピアの劇をしながら信頼を深めていった。しかし、そんなサルマにボストンの劇団からオファーが来てしまう。
サルマという存在を失ってしまったダグラスは、再び孤独になる。彼女の記事をスクラップしつつドッグシェルターで働き、そしてブロードウェイまで上り詰めた彼女を見に劇場まで足を運ぶことにした。
楽屋でサルマに花束を渡したダグラスだったが、そこで彼女の口から「私にはパートナーがいて妊娠も発覚した」と告げられてしまう。
全てを失い絶望の縁に立たされたダグラス。彼に残された道はあるのか……。

個人的な感想

いやぁ、「良い方のリュック・ベッソン」でしたよ。マジで。
LGBTQ+や貧困問題、移民問題といった最近の時勢に寄り添いつつリュック・ベッソン濃度120%。もはや一種の芸術作品といっても過言ではない。
タイトルの通り今作は犬が重要なキードッグ(?)になっているのだが、とにかく賢い。ちなみにフランスでは有名なタレント犬だとか。犬は無事です。(人間が無事とは言ってない)
当たり前の話フランス映画なので時間も短く気軽に見られる。松竹系なので上映館が少ないのがネックだが109シネマズでも上映しているのはポイント高し。というか神戸国際松竹亡き後のリュック・ベッソン作品の受け入れ先としての109シネマズHAT神戸はめちゃくちゃ重要かもしれない。

ネタバレ注意

※ここから先はネタバレを含みます。犬は無事です。
ドラァグクイーンのアルバイトとして生計を立てることになったダグラス。しかし、それだけではとても食べていけない。そこで彼が思いついたのは「豪邸から宝石類を盗み出すこと」だった。
犬の手助けもあって宝石を順調に盗み出すダグラスだが、ある富豪が保険会社に「ネックレスがない」と通報した。
警察の調べで監視カメラに「犬の影」が映っていることに気付いた刑事は、ダグラスの勤務先へと潜入する。そして、赤い薔薇を渡して帰ることに。
張り込み捜査でダグラスが自宅へ戻る所を見た刑事は、そのまま彼の家へと乗り込むことに。そこで待っていたのは、チリビーンズを食べるダグラスと無数の犬だった。
尋問の末に、お腹を空かせた犬たちは刑事に襲いかかる。これはダグラスの命令であり、刑事は犬に食いちぎられて命を落としてしまった。
その頃、ダグラスの家の周辺を支配するギャングが彼に対して「みかじめ料」を請求することになった。当然、彼がギャングに「みかじめ料」を払う訳がない。
ギャングの襲撃に対して犬たちが知恵を駆使して立ち向かい、ギャングは退散したかに見えた。しかし、リーダーがダグラスの部屋に侵入。ダグラスは銃で撃たれてしまう。
犬とともに命からがら逃げるダグラスだったが、検問で引っ掛かってしまう。警察から「窃盗罪と殺人罪の罪」で現行犯逮捕されたダグラスは、そのまま拘置所に入れられることになったのだ。

数日後。ダグラスは犬の遠吠えを聞く。それは「終わりの始まり」を意味していたのだ。
拘置所に侵入した犬たちは、ダグラスを解放。そして、両足のギプスを外した彼は、教会に向かって歩き出した。
「――あなたたちのために立っている!立っているんだ!」
朦朧とする意識の中で、十字架を見たダグラス。朝日が登る中で仰向けに倒れ込んだ彼のもとには、無数の犬が集まっていた。

この意味深なラストはどう解釈すべきなのか? 個人的には「ダグラスは神になった(=死んだ)」と解釈しているが、実際のところは個人の判断に委ねるしかない。まあそういうところもリュック・ベッソンらしいということで。

ところでハリウッドにはカムバックしないんですかね……。(ルーシーの大失敗を見ていると無理っぽいが……)

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