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イギリスでお笑いライブを見た①ベストネタライブ

イギリスでお笑いライブを見ました。

行ったライブ "The Best in Standup"

ロンドンのピカデリーサーカス(街の中心部)にある
The Comedy Storeという常設劇場の公演に行きました。

ミュージカルの常設劇場がひしめく、賑わいのあるエリアにこの劇場もあります

即興ライブ、新ネタライブ、オープンマイク(エントリー制ライブ)など毎日いろんな公演が行われています!

今回は「The Best in Stand Up」というスタンドアップコメディのベストネタが披露されるライブを見ました。

料金は大人18ポンド、学生13ポンド。
日本円に換算すると大人2900円、学生2100円。(円安つらい、2023年3月現在)
昨今の物価上昇の中で、コロナ前からお値段すえ置きなのは地味にスゴイと思います。

劇場 "The Comedy Store" の雰囲気

中に入ってまずびっくりしたのは、めちゃくちゃ広いということ…!

開場時刻にいったのでまだガラ空き

キャパ400人で、舞台の3方を囲むように客席があります。

前方エリアと、少し高くなった後方エリアにわかれている

スタンダップコメディがメインの劇場で、あまり動きを見せる必要はないのでステージは低め。

舞台上にあるのは椅子とマイクのみ!

ただ、そもそも出演者も背が高い人が多いので後方に座っても普通に見えます。

ロンドンで見たお笑いライブの内容

MC、前半3人、後半3人の計7人がネタを披露。
出演者は全国をまわっているベテランのコメディアンの方が多かったようです。
18時開場、19時半開演、22時終演(15分休憩あり)。

1. MC:Robin Morgan

イギリス・ウェールズ出身のコメディアン。
とにかくめちゃくちゃ早口でめちゃくちゃ客に話しかける人でした。

「僕は結婚してるんだけど…この中で結婚してる人は?」
「ロンドンの東に住んでて…同じとこ住んでる人いる?」
「僕の母親は先生で…先生だよって人は?」

みたいな感じで逐一お客さんに質問。
観客は手をあげるのではなく、「フゥ〜!」みたいな声を出して答えます。
逆に、手をあげるとなぜか前のめりすぎるとイジられます。

転換のたびに出てきてはお客さんと会話して場をあたためるという、MCの鑑のような人でした。

2. Ian Coppinger

アイルランド出身の小柄なおじさん。
アイルランドといえば宗教、酒飲みというステレオタイプを逆手にとってネタを披露していました。

お笑いライブ後にバーで飲んでたら目出し帽かぶった男がやってきて強盗にあった
「動くな!全員床に伏せろ!」と脅された
床に伏せる自分たちはさながら血だらけのキリストのよう
警察が来て「奥の部屋へ移動しろ」と言われて「酒も一緒に持ってっていい?」とボケたら強盗が慌てだした

別のアイルランド出身の友人も3回爆弾テロでしにかけたことがあると言っていて、国が違えば出てくるエピソードのスケールも違います。

3. KG tha comedian

ロンドンのBrixton出身のコメディアン。
「誰にでも偏見はある」と言いながら登場。

「黒人ってだけで「この人はよさそうだな」って言うヤツなんなんだ?
黒人ってだけで「この人はダメそうだな」っていうヤツはクソだけど」

など、黒人という見た目を題材にしたネタを披露していました。

ラップに合わせて

「牛肉はいらない♪牛肉はいらない♪牛肉はいらない♪ベジタリアンだから♪」

と歌ってて、普通のこと言ってるけどいい声すぎるのとコミカルな動きでウケてました。

4. Laura Lexx

イギリス・ブライトン出身のコメディアン。
片側だけ刈り上げたヘアスタイルで、
「結婚してるのよこれでも!!!!………男性と!!!」
と登場するなり自分のレズビアン感の強さをいじってました。

この人はとにかくよく動くのと、下ネタがキツかった!

「フェラすると歯が白くなるわよね……
歯医者に行ったら『歯が白くなったね!きれいだよ!』なんて言われて…………
ウフフ………その歯医者って私のお父さんなんだけど…」

みたいな感じでずっと飛ばしていました。

5. Ola

ラッパーのような風貌をしたナイジェリア出身のコメディアン。
淡々とゆっくり喋りながらフッて、オチでウケたらしっかり笑い待ちをする、とスローなテンポが特徴でした。

「こないだマレーシア航空に乗せられたけど……………………………………

前に航空機2台消える事故あったよね……………………………………………

…………………

あんなにしっかり安全のご案内のビデオ見たことなかったよ」

基本はエピソードトークを羅列していくのですが、なぜか合間で
「グレープって果物がすでにあるのにグレープフルーツって名付けるの何」
と一言あるあるネタを言い出したのに笑いました。
スタンダップコメディにもリズムネタのようなブリッジの時間があるらしい。

「みんなWi-Fi盗もうとすることあるよね」
「Wi-Fiは盗まれたくないのにWifeは盗まれてもいいのか」

とか、語感をもじったネタもありました。

6. Joe Hobbs

身長6フィート9インチ(205cm)ととにかく長身のコメディアン。
身長がでかすぎて69すると相手の膝を吸うことになる、など69の数字に絡めたツカミは鉄板らしい。

動画の冒頭(10秒頃)で2番目に登場したIan Coppingerさんと抱擁するシーンがありますが、さすらいラビーさんよりも身長差があります。

この人は「とにかく正反対のことを言う」という正統派な芸風だったのでわかりやすかったです。

飲み屋で出会っていい感じになった人が出会い系アプリのレビュアーだったとのことで、そのレビューをいじりながら
「今の若いヒトって人との出会いをなんでもコンテンツにして、ほんとサイテーだよね!」
と言ってその人の顔がでかでかと印刷されたファイルを見せたりしていました。

R-1で元カレとの盛れてるプリを見せてくれたエルフの荒川さんみたいなことか?

7. Dave Fulton

トリはアメリカ・アイダホ州出身の大ベテラン。
日本にもツアーで来たことがあるそうです。
早口すぎてついてくのが大変でしたが、コカインを吸っていたときのエピソードトークをしていました。(いいの?)

イギリスのお笑いライブの特徴

めちゃくちゃ客いじりがある

始まってすぐ感じたのは、客イジリがとにかくエグいです。

前方の席に男女で座ろうもんなら
「友達?彼女?奥さん?付き合って何年?プロポーズの予定は?」
とこれでもかと根掘り葉掘り関係性を聞かれます。

MCと同じ出身の人がいたら
「街は?通りは?番地は?」
ととにかく細かく聞き出す。

お客さんの名前を聞いて、同じ人に何回も話しかけたりもします。

日本で客イジリをすることがあっても、こんなグイグイ行くことはないです。

  • 営業ライブで「遠くから来た人は?」と聞いていって「すごいね〜」「そんな遠いところから?!」と褒める

  • 「べっぴんさん、べっぴんさん…」だったり、単に一方的に話しかけたり相手がどんなお客さんでも関係ないボケをする

  • いつもお笑いライブに来ていて、出待ちなどで交流があるイジっても大丈夫なお客さんをイジる

ぐらいまでで、あんまり客イジリが長いと「ごめんなさいね」と言うことも多いです。

この日のMCの方の芸風が顕著だっただけかもしれませんが、
イギリスのお笑いライブでは話しかけられたくない人は前方に座らない方がよさそうです…。

きわどいことを言ったらフォローするけど結局言う

スタンダップコメディでは下ネタ、偏見、宗教などきわどいネタも多いです。
みんな「こういうの嫌いだったらごめんなさいね」とか「傷つける意図はないんだよ」と言いつつ結局話を続けてました。
観客をイジって笑いをとったときは、照れ笑いみたいのを混ぜて「本気で言ってないですよ」という雰囲気にしたり。
わざわざこんなとこまで来てる時点でみんな共犯でしょってことなのかもしれません。

意味がわかるお笑い

スタンダップコメディでは実際に起きたできごとなどを起承転結をつけて話すので、構成がしっかりしています。
シュールだったり「意味わかんねーよ!」というようなお笑いはありませんでした。

外国の文化も身近

ロンドンではいろんな国の文化をバックグラウンドに持つ人が多いので、エピソードトークにもそういう要素がいろいろ出てきます。

「Excusez-moi, vouz avez au pain(すみません、パンはありますか) ……グルテンフリーってフランス語でなんて言うの?!?!?!」
グルテンフリーがフランスでは浸透してない、ただ単にパンの表面の白い粉をとって「はい、これがグルテンフリー」と言われた
イギリス人は礼儀正しいので「ありがとう」と受け取って後で元の場所へ戻した

Laura Lexx

他国との行き来が盛んなヨーロッパらしさを感じます。

とにかくウケるので笑い待ちの時間が多い

単にこの日の盛り上がりがすごかったのか?
この劇場・芸人さんの腕がありまくるのか?
めちゃくちゃウケるので、ちゃんと笑い待ちしないと聞こえなくなっちゃう場面が多々ありました。

ロンドンのお笑いライブで驚いたこと

24〜25時終演のライブがある

今回わたしは夜公演の1公演目をみたのですが、同日に23時開演というライブもありました。
現在は22時開演に早まっているようですが、どちらもオールナイトライブではなく通常の2時間公演のようです。
ロンドンでは金曜日と土曜日は主要な地下鉄・バスの路線が24時間運行になるため、こういった遅くまで開催される公演を打つことも可能なようです。

エントリーライブはゴングショー形式

この劇場では、King-Gongショー(ゴングショー形式のエントリーライブ)もやっています。

毎回ランダムに観客が3名指名され、全員の札が上がったらネタ終了。
全員の札が上がらなければ最大5分ネタができるという形式です。

ラママのコーラスラインだ…!と思ったけれど、そもそもゴングショーはアメリカのバラエティ番組発の文化ですね。

一律2分半で強制暗転されるより、面白ければ5分ネタができる方が芸人さんもやりやすそうな気もしますね。

客席で飲食OK(ハッピーアワーあり)

バー併設で飲食できるスペースが別にあり、18〜19時がハッピーアワーなのでみんな開演前からお酒を飲んでいました。
公演中も客席で飲食OK。
テーブルはありませんが、ホットドッグやポテトを片手に見られます。

オーダーはカウンターで行う必要があるため、
開演前か途中休憩のときに注文して受け取ってから着席します。
ピザ、ポテトなどのジャンクフードで味は普通。

18歳未満は入場禁止

この劇場ではアルコールの提供があるため、18歳未満は入場禁止でした。
(イギリスではお酒を呑めるようになるのが18歳)

バーでお酒を頼むときだけ年齢確認すればいいってわけじゃないんですね。
同様に、アメリカでもお酒が呑めるようになる21歳以上でないと入場できない劇場があるようです。

英語圏ではお笑いはお酒と密接に結びついていて、だからこそ過激なネタも飛び出すのかもしれません。
日本のように高校生でも行けるライブは少ないので、お笑いは大人の文化なのかもしれないですね。
一方、ドイツでは16歳からお酒が呑めるので、高校生もお笑いライブに来てるかもしれません。

参考:PREMISES LICENCE FACTSHEET
(アルコール提供の認可を受けるには18歳未満を入場禁止にするよう法律で定められている)

プレミアムシートは後方にある

日本では舞台に近い前方の席の値段が高くなることが多いです。
ただ、この劇場では後ろからゆったり見られる後方のバルコニーエリアの最前列がプレミアムシートのようです。
飲み食いしながら楽しめるのもあり、映画館の感覚に近いのかもしれません。

まとめ

行く前は「イギリスの政治家や有名人とか詳しくないけど大丈夫かな?」と思っていました。
ただ、フタを開けてみたらどのコメディアンの方も個性豊かでとても楽しめました!
この日は平日木曜夜で集客は80人ほどでしたが、何度も拍手笑いが起きていました。
日本のお笑い文化とも違うところが多々あり、興味深かったです!

観光でもふらっと行きやすい場所にあるので、英語がわかる方はぜひThe Comedy Storeに行ってみてください!

ロンドンで別の劇場のお笑いライブも見たのでまたまとめます!


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