イザヤ書を読む(7)


イザヤ書 第1章 21-28節

エルサレムに対する神の裁き

[21]
忠実だった町が、どうして遊女になりさがってしまったか。
そこには公正が満ち、正義が宿っていたのに、
今は人殺しばかりだ。

[22]
あなたの銀はかなくずとなり、
あなたのぶどう酒は水で薄められている。

[23]
あなたたちの高官たちは頑な者で、盗人の仲間。
皆、賄賂を愛し、贈り物を強要する。
彼らは孤児の権利を擁護せず、
やもめの訴えは彼らに届かない。

[24]
それゆえ、万軍の主ヤーウェ、イスラエルの力ある方は言われる。
「ああ、わたしはわたしの恨みを晴らし、
わたしの仇に報復する。

[25]
わたしは手を翻しておまえに向け、
おまえのかなくずを灰汁(あく)をもってするように溶かし
不純物をすっかり取り除く。

[26]
また、わたしは、おまえの統治者たちを初めのように、
おまえの顧問を元のようにする。
その後、おまえは正義の町、忠実な町と呼ばれる。」

[27]
シオンは公正によって贖われ、
その中の悔い改める者は正義によって贖われる。

[28]
背く者と罪人は共に砕かれ、
ヤーウェを捨てる者は消え去る。

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<本文注より>
・21-23節。本箇所は、エルサレムがヤーウェの社会正義に関する戒めを無視し、物欲に走って、夫であるヤーウェに不忠実な者、すなわち娼婦となったと、預言的なことば遣いで述べる。エルサレムとヤーウェとの関係は、不純な銀、水で薄められたぶどう酒のようになった。

・24-28節。ヤーウェは自ら、ご自分の敵(ヤーウェの戒めに従わない人々)によって抑圧された人々が受けた不正を正してくださり、自ら、エルサレムを再び以前のように「正義の町、忠実な町」となるよう清め、回復してくださるが、他方、「主を捨てる者は滅ぼされる」。

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<参考聖句>
※今回は関連する聖句を多く取り上げた。
いわゆる「聖書で聖書を読む」ひとつの試みである。
聖句の選択は聖書協会共同訳の引照を参考にし、本文自体はフランシスコ会訳のものを使用した。

・詩編48:2-3(神の山シオン)
「主は偉大なる方、大いにたたえられるべき方。その聖なる山はわたしたちの神の都にある。麗しくそびえ立ち、全地の喜び。シオンの山は大王の都、ツァフォンのふところ。」

・ゼカリヤ8:3(主の慈しみとシオンの復興)
「主はこう仰せになる、「わたしはシオンに帰り、エルサレムのただ中に住む。エルサレムは真実の町と呼ばれ、万軍の主の山は、聖なる山と呼ばれる」。」

・イザヤ57:3-4(偶像崇拝に対する非難)
「しかし、女まじない師の子らよ、出てこい。姦淫する男と娼婦の子孫よ、お前たちは、誰に向かってからかい、誰に向かって大きく口を開き、長い舌を出すのか。」

・エレミヤ2-20(イスラエルの背信)
「まことに、お前は久しい昔に軛を打ち壊し、鎖を断ち切って言った、『わたしはもう仕えない』と。まことに、お前はあらゆる高い丘の上、あらゆる緑の木々の下で、身を横たえて娼婦を演じた。」

・エゼキエル16:32-34(背信の妻エルサレム)
「夫ではなく、見ず知らずの男と通じている不貞の女よ。そもそも娼婦とは貢がれるものである。ところが、お前は誰彼なく愛人に貢ぎ、付け届けを贈って人々を四方から呼び寄せて姦淫する。お前の姦淫はほかの女とは逆で、尋常でない姦淫を行っている。相手に金を払わせず、むしろお前が金を払っている。まるで逆である。」

・エレミヤ33:14-16(ダビデの王家)
「見よ、その日が来る----主の言葉。わたしがイスラエルの家、ユダの家に対して語った善い約束を成就する日が。その日、その時、わたしはダビデの家から正義の若木を芽生えさせる。彼は公正と正義をこの地で行う。その日、ユダは救われ、エルサレムは安らかに住む。それは『主はわれわれの正義』という名で呼ばれる。」

・エゼキエル34:16(新しい牧者)
「わたしが失われたものを捜し求め、迷ったものを連れ戻す。傷ついたものを介抱し、弱いものを力づける。しかし、肥えたもの、強いものは滅ぼす。わたしは正義によって彼らを養う。」

・エレミヤ6:30(エルサレムに迫り来る災い)
「彼らは廃棄された銀と呼ばれる。主が彼らを廃棄されたからだ。」

・エゼキエル22:17-18(エルサレムの罪と裁き)
「主の言葉がわたしにくだり、仰せになった、「人の子よ、イスラエルの家は金屑になってしまった。彼らはみな、炉の中の銅、錫、鉄、鉛であるのに、銀の屑になってしまった。」」

・ミカ3:1-3(エルサレムの指導者への非難と判決)
「わたしは言った。聞け、ヤコブの頭たち、イスラエルの家の指導者たちよ、お前たちこそ正義に精通しているはずではないのか。善を憎み、悪を愛する者、人々から皮をはぎ、その骨から肉をそぎ取る者よ。彼らはわたしの民の肉を食べ、その皮をはぎ取り、骨を打ち砕く。鍋の中の、大釜の中の肉のようにぶつ切りにする。」

・イザヤ3:14-15(エルサレムとユダに対する審判)
「主は、その民の長老と長官たちの裁きを取り上げられる。「お前たちがぶどう園を食い荒らしたのだ。貧しい者から奪い取ったものが、お前たちの家にある。どうして、お前たちはわたしの民を打ち砕き、貧しい者の顔を押しつぶすのか---万軍の主なる神の言葉」。」

・出エジプト23:8(正義と憐れみの規定)
「賄賂を受けてはならない。賄賂は見える人の目を見えなくし、正しい人の言葉をゆがめるからである。」

エゼキエル22:12(エルサレムの罪と裁き)
「賄賂を取って流血ざたを起こす者、利息を天引きし、高利を取って隣人を虐げる者がいる。お前はわたしを忘れてしまった----主なる神の言葉。」

・ミカ3:11(エルサレムの終末)
「その頭たちは賄賂を取って裁き、祭司たちは報酬に応じて教え、預言者たちは金銭と引き換えに神託を告げる。しかも、彼らは主を頼りにして言う、「主はわたしたちのうちにおられるではないか、わたしたちに災いが降りかかることはない」。」

・申命記24:17(人道上の規定)
「在留する他国の者や孤児の権利を侵してはならない。やもめから衣服を質に取ってはならない。」

・イザヤ10:1-2(主の裁きの手は伸ばされた)
「災いだ、不正の掟を定める者、苛酷な法規を記す者。弱い者の訴えを曲げ、わたしの民の貧しい者から権利を奪い、やもめを餌食とし、孤児を食い物にする。」

・ゼカリヤ7:8-10(不従順に対する主の応答)
「次のような主の言葉がゼカリヤに臨んだ。万軍の主はこう仰せになる、「正しい裁きを行い、互いに慈しみをもって思いやり、やもめと孤児、在留する他国の者と貧しい者を虐げてはならない。互いに心の中で悪を企んではならない」。」

・列王記上18:15(エリヤとオバドヤ)
「エリヤは言った、「わたしが仕える生ける万軍の主に誓って言う。わたしは今日、必ずアハブの前に姿を現す」。」

・イザヤ6:3(イザヤの召命)
「聖なる、聖なる、聖なる、万軍の主。その栄光は全地に満つ。」

・イザヤ49:26(シオンを救われる主)
「わたしは、お前を虐げる者たちに自分の肉を食わせる。彼らは新しいぶどう酒のように自分の血に酔う。こうしてすべての肉なる者は知る。わたし、主がお前の救い主、お前の贖い主、ヤコブの力ある者である。」

・詩編119:119(神の教えは命の源)
「あなたは地のすべての悪人を錆のようにみなされます。それ故、わたしはあなたの諭しを愛します。」

・イザヤ63:9-10(主の慈しみをたたえる)
「彼らが苦しんでいた時にはいつも、主も苦しまれた。ご自分に仕えるみ使いが彼らを救い、愛と憐れみをもって自ら彼らを贖い、昔はいつの日も、彼らを抱き上げ、抱えてくださった。しかし、彼らが逆らい、その聖なる霊を悲しませたので、主は、翻って彼らの敵となり、彼らに対して自ら戦われた。」

・ヨブ9:30-31(神の非情)
「たとえ、わたしがしゃぼん草で身を洗っても、灰汁で手を清めても、あなたはわたしを汚物の中に投げ捨てられるでしょう。また、わたしの着物もわたしを忌み嫌うでしょう。」

・エレミヤ2:22(イスラエルの背信)
「たとえ、灰汁で身を洗い、多くの灰を使っても、お前の罪の汚れはわたしの目の前にある----主なる神の言葉。」

・マラキ3:2(主の裁きの日)
「しかし、この方の来る日に誰が耐えられるだろう。この方の現れる時、誰が立っていられるだろう。まことに、この方は精錬する者の火、布を洗う者の灰汁のようだ。」

・エレミヤ6:29(エルサレムに迫り来る災い)
「ふいごを吹き、その火で鉛を溶かす。だが、精錬しても、その精錬は無駄だった。悪いものが取り除かれることはなかった。」

・エレミヤ9:6-7(主の嘆き)
「それ故、万軍の主はこう仰せになる、「見よ、わたしは彼らを精錬し、試みる。娘であるわたしの民に対して、ほかに何ができようか。その舌は鋭くされた矢、その口は虚偽を語る。各々、親しげに友と語りつつ、心の中では罠を仕掛ける」。」

・エゼキエル22:20(エルサレムの罪と裁き)
「炉に集めた銀、銅、鉄、鉛、錫が、火を吹きつけられて溶かされるように、怒りと憤りのうちにお前たちを集めて炉に投げ入れ、溶かしてしまう。」

・申命記16:18-19(正しい裁き手)
「あなたの神、主が部族ごとに与えてくださる、あなたのすべての町に、裁き手と役人を任命しなければならない。彼らは公正な裁きをもって民を裁かなければならない。あなたは裁きを曲げてはならない。人を分け隔てしてはならない。賄賂を受け取ってはならない。賄賂は賢い者の目を眩ませ、正しい者の言い分をゆがめるからである。」

・エレミヤ33:6-7(主のエルサレム再建の計画)
「見よ、わたしはそれに回復と修復をもたらす。わたしはそれらを癒やし、彼らに全き平和と安らぎを享受させる。わたしはユダの繁栄とイスラエルの繁栄を回復させ、それらを元どおりに建て直す。」

・エレミヤ33:10-11(主のエルサレム再建の計画)
「主はこう仰せになる、『お前たちが<この場所は荒れ果て、人も獣も住む者もいない>と言っている、寂れ、人も住人もおらず、獣も住まないユダの町々やエルサレムの巷で、再び、喜ぶ声と楽しむ声、花婿の声と花嫁の声、主の神殿に感謝の献げ物を携えて来て、<万軍の主に感謝せよ。まことに、主は慈しみ深く、その憐れみはとこしえに続く>と言う者の声が聞かれるようになる。まことに、わたしはこの地の繁栄を回復させ、以前のようにする----主の言葉』。」

・イザヤ33:5-6(祈願と救いの約束)
「主は崇められ、高き所に住み、シオンを公正と正義で満たされる。お前の時代の守りは豊かな救いと知恵と知識、主を畏れることは主から来る宝。」

・イザヤ51:5(シオンの慰めと永遠の救い)
「わたしの正義は近く、わたしの救いは現れる。わたしの腕は諸民族を裁く。島々はわたしに期待し、わたしの腕を待ち望む。」

・サムエル上2:35(エリの家に対する神の警告)
「わたしは、わたしの心と思いをくんで事を行う忠実な祭司を立てて、その者のために堅固な家を建てよう。彼はいつも、わたしの油注がれた者の前を歩む。」

・イザヤ46:12-13(重荷となる神々とイスラエルを担う真の神である主)
「わたしに聞け、強情な者ども、正義から遠ざかっている者どもよ。わたしはわたしの正義を間近にした。それは遠くない。わたしの救いが遅れることはない。わたしは救いをシオンに、わたしの誉れをイスラエルに与える。」

・イザヤ62:1-2(シオンの救い)
「シオンのために、わたしは黙ってはいない。エルサレムのために、わたしは沈黙を守らない。その正義が曙の輝きのように出て、その救いが松明のように燃え上がるまでは。諸国はお前の正義を、王はみなお前の栄光を見ることになり、お前は主の口が名づけた新しい名をもって呼ばれる。」

・イザヤ35:10(贖われた民のシオンへの帰還)
「主に買い戻された人々が、帰ってくる。歓喜しながらシオンに戻ってくる。永遠の喜びが彼らの冠となり、喜びと楽しみが彼らに追いつき、悲しみと溜息は去る。」

・イザヤ62:12(シオンの救い)
「彼らは、「聖なる民」、「主が贖われた者」と呼ばれ、お前は、「追い求められる女」、「捨てられない町」と呼ばれる。」

・イザヤ45:22(神々と、まことの神である主)
「地のすべての果てよ、わたしのほうに向きを変えよ。そうすれば、救われる。まことに、わたしが神である。ほかにはいない。」

・イザヤ56:1(すべての民の祈りの家)
「主はこう仰せになる、「公正を守り、正義を行え。まことに、わたしの救いは間もなく到来し、わたしの正義が現れる」。」

・ヨブ31:3(ヨブの潔白の証言)
「不義を行う者には災いが下らないであろうか。悪を行う者には災難が臨まないであろうか。」

・詩編1:6(真の幸福)
「正しい者の集いは主に守られ、悪い者の道は滅びに至る。」

・詩編5:5-7(保護を求める朝の嘆願)
「あなたは、悪を喜ぶ神ではありません。悪い者はみもとに留まれず、高ぶる者はみ前に立つことができません。あなたはすべて悪を行う者を憎み、偽りを言う者を滅ぼされます。主よ、あなたは血を好む者、欺く者をいとわれます。」

・詩編73:27-28(信仰の勝利)
「見よ、あなたを離れる者は滅び、あなたに不実な者はすべて断ち切られる。神のそばにいることはわたしの幸せ。わたしは主なる神を逃れ場とした。わたしはあなたのすべての業を語り告げよう。」

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以上、「聖書で聖書を読む」の実践であった。

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