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Weekly Pick UP! 2021/7/23

毎週、ヘルスケアの最新情報を、3本ピックアップしてお届けしています。

1. Nanoparticle urine test diagnoses cancer and pinpoints its location - 癌の場所を特定する尿検査 -

MITの研究者が、癌を検出するための尿検査として新しい診断システムを開発しています。

新しい診断システムは、患者が癌を患っている場合に尿中に「合成バイオマーカー」を生成できるナノ粒子を使用する、ユニークな技術です。
特別なペプチドでコーティングされたナノ粒子は、癌細胞が生合成するプロテアーゼに切断される特性を備えており、尿中においてそのペプチドの破壊の程度によって、癌の有無を判定します。

既にその検出能力の有効性については検証されていますが、今回MITは、このナノ粒子に癌の場所を特定するための機能を付与しました。
腫瘍がある場合、その周囲は酸性環境になります。ナノ粒子に付与されたのは、酸性環境に引き付けられるペプチドであり、これによりナノ粒子は癌の周りに集まる機能が発現します。ナノ粒子にはさらに銅の放射性同位体を標識として付与し、検査結果が陽性であった場合にPETによる追加検査を行うことで、癌の場所を特定できることになります。

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出典:NEW ATLAS Link

2. NEC 大腸内視鏡画像から腫瘍性病変を識別するAI

NECと国立がんセンターは、従来から開発を進めていた大腸内視鏡画像解析技術に、病変の腫瘍性を判定するAIソフトウェアを実装したことを明らかにしました。本機能はCEマークを取得しており、2021年中に欧州での販売を開始する予定です。

このソフトウェアは、既存の内視鏡装置に接続し、内視鏡検査中にキャプチャされた画像に基づいて病変が腫瘍性である可能性があるかどうかをユーザーに自動的に通知します。検出精度が向上するだけではなく、不必要な生検の回避による負担軽減も期待できます。

大腸がんはヨーロッパで2番目に大きいがんと言われており、日本初のAI画像診断技術に対する、市場の反応がどうか興味深いところです。

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出典:NEC  Link

3. 極低温電子顕微鏡でのリアルタイム観察を可能に

2017年にノーベル化学賞を受賞した、低温電子顕微鏡法(クライオEM)は、タンパク質などの生体分子を近原子分解能でキャプチャできるイメージング技術です。

生命科学や医学、化学などで有用な同技術ですが、タンパク質のリアルタイム観察において弱点がありました。今回スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究者らは、マイクロ秒(100万分の1秒)のタイムスケールでタンパク質の構造変化を捉えられる、クライオEM向けの手法です。

新しい手法では、ガラス化したサンプルをレーザーパルスで急速に溶融します。この手法により、タンパク質は細胞内の状態と同じように構造を変えられます。その後、数マイクロ秒でサンプルは再ガラス化されて「一時停止」状態を作り出し、極低温電子顕微鏡でのリアルタイム観察を可能にします。

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出典:TECHABLE Link
   EPFL  Link

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