能力はセットで揃えて初めて機能する

人間の持っている能力や特性は、あればあるほどいいというわけではない。多くは、セットの状態で持っていて初めて機能する。

例として、優れた創作者に必要な特性である「自己への期待値の高さ」と「メンタルの強さ」を考えてみよう。自己への期待値が高くなければ、過去の作品に満足してしまって向上しない。しかし、期待値が高いと作ったものに満足できず幸福にはなれない。そこでメンタルが弱いと一生満足できない世界に身を投じることをやめてしまう。常に満足できないなかで、なお自己批判を繰り返す事ができるものが優れた創作者になれる。つまり、「自己期待値の高さ」は「メンタルの強さ」とセットで持っていて初めてうまく機能するのである。

例は単純なモデルだが、現実は複雑である。期待値が低くても量や運などで作品の質を担保できるかもしれないし、生まれつきのメンタルが弱くても工夫によってカバーする解決力を持っていれば大丈夫である。ただいずれの場合にしても、必須級の能力がほぼ機能しない状態になってしまうと、他がどれだけ優れていても全体の力は相当目減りしてしまう。

つまり、能力は足し算ではなく、それぞれの能力を補完しあって機能させ、さらにはシナジーを生み出していくことが肝なのではないかと最近は考えている。そして、大成するためには素晴らしい才能があるか以前に、もっと小くても必要な能力・特性を持ち合わせているかどうか、というスタートラインがあるように見える。

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