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ライブハウス再生の鍵は完全禁煙化

原宿Astro Hallが昨年の終わりで閉店した。綺麗なライブハウスで僕は好きだった。原宿のど真ん中という好立地でさえもこうなってしまう時代だ。地方のライブハウスに人が集まるはずがない。

何をすればライブハウスにお客さんは戻ってくるのか。入るようになるのか。
先に結論を言うと、完全禁煙化が一番てっとり早い方法だと思う。
それが出来なければライブハウスに未来はない。

「タバコの匂いが服や髪に付くから嫌」
なかなか声を上げることのできない女性たちからの切実なメッセージだと思う。
密室内でかなりの人がタバコを吸っている。吸わない人には地獄のような環境だ。

ライブハウスとはお客さんにとっては音楽を聴きに行く場所である。
演奏者にとっては音楽を演奏しに行く場所である。
双方が満足して帰ればそれでいい。それができなくなっているのだ。

ミスチルのコンサートにはなぜ女性がたくさん集まるのか。
それは副流煙を吸わなくてすむからだ。受動喫煙のリスクがない。
ミスチルクラスの実力があってもおそらくライブハウスだと女性客は集まらない。
いつの時代も我慢を強いられる環境は圧倒的に不利だ。

昔ならばタバコの煙とライブハウスは切っても切れないものだったかもしれない。ひと昔前は成人の喫煙率は80%を越えていたが、現在は20%まで下がっている。時代は変わったのだ。
ただでさえ音楽人口は減っているのにタバコの煙を我慢してまで音楽を聴きたい人がどれだけいるのか。単純に考えても全国民の2割だけを相手にするビジネスは不利だろう。

音楽ビジネスはご存知のとおりどんどん規模が小さくなっている。CDも売れなくなり、アーティストにとって収入源はグッズの販売やライブチケットの売り上げに変わった。会場まで足を運んでもらわなければ何も始まらない。大物アーティストは大丈夫だが、中堅以下アンダーグラウンドまでみんな厳しい状況だ。

楽しいことは世の中にありふれていて、それは別に音楽でなくてもいい。
アプリもあるし、Youtubeもある。
それでもなぜ音楽をわざわざ聞きに行くのか。行けばわかるが、そこでしか感じられない魅力が生演奏にはある。それを伝えられるのはライブしかない。
最も身近で最も小さいライブ会場。それがライブハウスだ。

もっと敷居は低く、オープンな場所であってほしいというのが僕の本音だ。
マニアックな音楽を聴く、マニアックな人々が集まればいいというスタンスもかっこいい。しかしそれは音楽人口が多かった時代の儚い夢だ。

ライブハウスの店主は喫煙者であることが多いのもわかっている。
どれだけ自分のエゴを抑え、集客というものを真剣に考えているか。
心を鬼にして一歩前進出来るか。それとも煙とともに消えていくのか。
「客なんか来なくてもオレはタバコを吸えればそれでいい」
それはそれで一つの男の生き様ではあると思う。
「お客さんが1人増えるならタバコ一本くらい我慢しませんか」というのが僕の考え方だ

最後にもう一つ。
タバコを吸う人はタバコ代がかかるし、たくさんお酒を飲むので酒代もかさむ。
そういう人がアンダーグラウンドなCDを買ってくれると思いますか?
僕のCDを買ってくれた人の9割は非喫煙者でした。喫煙者は全然買ってくれませんね。
偶然かもしれませんが、偶然じゃないかもしれません。
僕は生き残りたいので非喫煙者に向けて音楽を演奏したいと思っています。

ありがとうございます。有意義なことに使います。