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人材紹介の短期離職について考える

皆さん、こんにちは。カタリストエージェントの勝田です。
少し前になりますが、日経新聞の記事に人材紹介の短期離職についての記事がありました。<日本経済新聞2023年7月17日>

この記事によると医療・介護・保育の分野において、優良事業者の認定基準に就職した人が6カ月以内に離職した場合の手数料返還を加えるという内容が掲載されていました。紹介業者が頻繁な転職を促し、手数料を稼ぐといった悪質な事例が後を絶たない為に優良認定に規制を強化するというのが背景です。
今回はこのケースを踏まえて、人材紹介の短期離職について考えてみたいと思います。


人材紹介事業者の返金制度について

一般的に人材紹介の世界では短期離職が起きた場合、返金制度(=リファンド規定)を設けていることが多いのでまずはこの返金制度について説明をします。
返金制度には2種類あります。通常多くの企業で採用しているのが、紹介した人材が一定期間内に自己都合で退職した場合に期間に応じて紹介手数料を返金するというものです。

ここでは「自己都合での退職」であること、そして「一定期間内」という点が大事なポイントです。

つまり、会社都合による解雇などの場合は該当しないのが一般的です。また、期間についても通常は1ヶ月から3ヶ月(長い場合は6ヶ月というケースもあります)という期間を設定し、その期間に応じて返金額を設定する(例えば1ヶ月以内は80%返金、1ヶ月超から3ヶ月以内は50%返金など)というケースが多いです。
(注)こちらはあくまで一般的な例です。実際は企業とエージェントとの間の契約によります。

また、「フリーリプレイスメント」という仕組みもあります。これは紹介した人材が保証期間内に退職した場合、紹介した人材の代わりとなる人材を無償で紹介することを指します。

人材紹介会社は、徴収した手数料を返金する必要がなく、求人を募集している企業も新しく人材が手に入るため、両者の損害を最低限に抑えられるというメリットがあります。これは外資系企業などによくみられるケースですが、実際に対応できるのは多くの人材を抱えている大手エージェントに限られるのではないかと思います。

マッチポンプって何?

皆さん、突然ですが人材業界で「マッチポンプ」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
これは冒頭の日経新聞の記事のように、これまで述べてきた返金制度の規定を潜り抜ける形で求職者を送り込む人材紹介事業者を指します。例えば、ある企業の返金規定が3ヶ月の期間であった場合、その間だけなんとか働いてもらい、その規定を過ぎたら他の企業への案件紹介も辞さないというケースが該当します。

このようなケースは業界では「マッチポンプ」と言われ、道義的に強く禁止している企業が多いのですが、一部のエージェントでは法的には問題がないことを逆手に取り、(当然、道義的には問題はあります)こういうマッチポンプを行っている企業があるのもまた事実です。

そのような事をしていたら、手数料収入は入るかもしれませんが人材業界自体のイメージの低下はもちろん、それを行っている企業の信用も無くなっていくことは言うまでもありません。

人材紹介会社のゴールは何か?

それでは人材紹介会社としてのビジネスのゴールは何なのでしょうか?いろんな考え方があるかと思いますが、私は「人材紹介会社のゴールは入社後に活躍する人を紹介すること」だと考えています。詳細は下記の記事をご覧下さい。

企業として儲けることは当然、重要ですが、私は人材紹介という仕事の特性上、どうしても単純にこの仕事をビジネスライクに考えることはできません。それはやはり、人材紹介の仕事は「人」を扱う仕事である以上、その人のキャリアを応援し、最大限成長できるような環境、あるいは幸せを感じられる職場を斡旋していくことこそが本来的な使命だと思うからです。

企業にとっても当然、中途入社者を単なる頭数ではなく、事業拡大に貢献するための貴重な戦力(=人的資源)として見ている筈です。

その意味で人材紹介の仕事の成果は求職者、企業双方にとって、「入社後の活躍」によって測られるべきものではないでしょうか?
人材業界に長く携わるものとして、この軸だけはぶらさずにこれからも日々活動をしていきたいと思います。

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