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短歌 2024年3月

春まだき水道水の冷たさがわたしの指に桜を咲かす

川面から電車を街を橋を見て知らない人と手を振りあった

クッションを抱いて休憩する君に「小椅子の聖母」がダブって見える

置き配は現代の魔法ひょっとしてそこの陰には笠地蔵さま

幸せな気分にも後ろ髪はない逃げないように抱きしめるんだ

何年もともに過ごした同僚らお菓子に化けてデスクに集う



この種族に今日もまた擬態する「族」と「旅」とを書き間違えつつ

『シャイニング』
お揃いのスプーン洗いかごに立つ廊下の先の双子のように


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