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透明軸吸入式万年筆のススメ

前にも書いたが、私は万年筆が好きである。機能的かつ美しいフォルム、すらすらと流れ出るインクの、書き味のなめらかさ。インクの色の濃淡の美しさ。使い込むほどに書き味が手になじみ、自分だけの1本として育っていく感覚。書くと言う行為がそれだけで特別な愉しみの時間となって、満足感を味わせてくれる。そんなことを書いた気がする。

その後、さらに特別なアイテム、「透明軸の吸入式万年筆」というものに出会い、私の物を書く時間は更に充実した。この、美しさと実用性を最高度に満たすアイテムについて書いてみたい。


透明軸の吸入式万年筆。これは字のごとく、透明な素材でペン軸が作られている万年筆である。クリアボディの筆記具なら、文具屋に行けばいくらでもある。しかし、こと、それが万年筆、しかも吸入式の万年筆であると、中身が透けて見えるというのは特別な意味を持つ。

吸入式の万年筆とは、ペン先をインク瓶に直接浸けて、 ペンの尻のネジを回したり、引いたりすることで、インクをペン軸内部に直接吸入する、ペンのボディがそのままインクタンクになっている万年筆の事だ。ペン軸内がそのままインクタンクになっているので、大容量のインクが入るのが特徴である。

これがクリアボディだとどうなるか。透明なペン軸内にインクが入り、インクの色が直接見える。書くにつれてインクが減ってくると、 ペン軸内でインクがゆらめき、気泡が動き、美しく面白い。インクの残量が直接目で見えるから、「これだけ書いた」という達成感もあり、インクを入れ忘れることもない。機能的かつ美しい、至高の筆記具なのである。

「ペン軸内でインクが揺らめく」と書いたが、これが本当に美しくて楽しい。子供のころ夏休みの観光地で買ってもらった透明チューブに色水と気泡の入ったおもちゃ。チューブを傾けて、気泡が形を変えながら上下するのを飽きもせず眺めたものだ。 そんな経験を持つ方は多いはず。それが万年筆の中に、まさにあるのである。書いているときに揺れるインクの水面の反射。手を止めてペン先を持ち上げると、後ろに流れ出すインクの姿を変える様。机に置けば気泡は広く上面に集まって、キラキラと水面が輝く。見ていて飽きない、美しい筆記具だ。しかもおもちゃではなく、インクタンクは余分な飾りではない。全てが機能的。それがまた美しい。


そんな美しい万年筆ならどうせ高価なのだろう、と思われるかもしれない。しかし台湾のTWSBI社製のECOシリーズなら、5000円台だ。元々高級万年筆の製造を請け負っていた会社だけあって、作りもしっかりしており故障も少ないし、書き味も素晴らしい。EF(極細字)ペン先ならば5mm方眼サイズの手帳にも充分使え、私も常に持ち歩く手帳をこれで書いている。 普段遣いの耐久性のある万年筆だ。ちなみにガラスコーティングなのか、猫にかじられても傷がつかなかった。素晴らしい。(写真はTWSBI ECO-T クリア EFペン先)

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インクはパイロットの「色彩雫」シリーズ、紙は無印良品の「上質紙スリムノート横罫縦ドット」シリーズがオススメだ。無印良品の上質紙ノートは万年筆向きの紙ではコスパが良い。

書くことを特別な時間にしたいなら、特別な日の自分へのプレゼントなどにいかがだろうか?


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