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#小説
鈴の鳴る風の音 2話
『いつも、そうだな…』と狗狛が呟く言葉は
風がさらっていったあと…
それから、どれ程の時が経ったか…。
狗狛には決して見せなかった苦しみに
堪えられず、鈴音は自ら牟婁の傍に
ある海に身を投げた。
相も変わらず見え、聞こえ続ける聲や映像、
それは、誰にも理解されず、怒りや
悲しみすら出してはならないと言われ続ける。
笑いながら隠れては泣き、堪えていたものは
どれほどあったのだろうか。
自分には笑顔し
鈴の鳴る風の音 1話
昼と夜の混ざるような土地
それは誰かと誰かの話が聴こえる。
『何故、ヒトはそこまで必死になるのだ?』
眼前に広がる景色を見ていた狗狛は、
不意に問いを投げかける。
突然の問に鈴音は困惑していたが、答えは
分かっていた為、すぐに言葉を返す。
『生きているからですよ。命あるものですから。』
それを聞いた狗狛は、ため息まじりに呟く。
『また、それを…。私には分からぬと再三
言っているものを…』
そんな狗