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猫の弊害 日刊ねこ

ある日のカウンセリングルーム。
「田嶋さん、こんなことをお伝えするのは大変心苦しいのですが…」

カウンセラーさんが続ける。
「猫ちゃんとベッドのコンビより魅力的な労働は、多分ありません」

ひいいいい!

日刊ねこ 甘えんぼうすぎる4歳の元保護猫と、うつで引きこもりがちの乳母(わたし)のやさしい共依存ライフ。陽気な彼氏もいます。

遡ること、この数日前。私は自分にショックを受けていた。
うつの発作で気分が落ち込んでしまい、病院にいくのが嫌になってしまったからだ。

「もう治らなくていい」「頑張って治療する意味がわからない」と、治ることに対するネガティブな気持ちが噴出。これまでも出掛けられないことはあったけれど、こんなふうに治療に対して後ろ向きになってしまったのは初めてだった。

うつを治したいはずなのに、なんでこんなことを思っちゃうんだろう?家族も彼も病院の先生たちも、みんな応援してくれているのに…。自分が情けなくて、その日は余計に落ち込んでしまった。

そして話は冒頭のカウンセリングルームに戻る。
正直に今の気持ちを相談したら、カウンセラーの先生は「治りたくない、というのはもしかしたら順調に治ってきた証拠かもしれませんよ」と教えてくれた。


「私だってできれば働きたくないですし、休みたい時もたくさんあります。田嶋さんが今回治りたくないと思ったのは、今の生活に満足できるようになって自然な気持ちが出てきたんじゃないですかね。すごいことですよ!」

おおお!確かにそうだったのか!!目から鱗、あたたかい先生が嬉しくて涙。

「先生、確かにそうかもしれません。最近やっと生きるのが楽しい日が増えてきたところでした」「ね、最近のカウンセリングでも表情が明るいこと増えてきましたもんね。どんな時に楽しさだったり幸せを感じますか?」

「猫とベッドでゴロゴロしている時ですね!ほぼ1日中そんな感じです!」

いきなり勢いづく私。
「最高すぎて社会復帰できる気がしません。いや、したい気持ちはあるんですけれど」「ま、まあ、猫ちゃんとベッドのコンビより魅力的な労働はありませんね…。もしかしたら猫ちゃんが、社会復帰に対する一番のハードルになるかもしれません…」

あああああああああああああああああ

ーーーーー

こうして私は、きたる社会復帰のために「猫断ち」を余儀なくされた。

猫とゴロゴロする時間をなるべく減らすために、今もこうして猫を愛でる文章を書いている。

…猫断ちできる日は遠い。

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