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病院(かんごく)へようこそ
1月の診断後は、トントン拍子に日程が決まり、24日入院、検査を経て、本来は一度家に帰っても良いのだけど、コロナの関係で30日に手術…と言う日程
一度帰ると、コロナの検査を2回やらなくてはいけないのと、仮に陽性だった場合、手術の機会が遅れてしまうから…とのこと
24日に入院したからと、すぐに色々やるわけでは、ない
まずは27日に造影剤を入れての撮影
脳の血管なので、万が一を避けるために事前に撮影を行うわけで…
27日までは、所謂ゲスト様
ベッドの上で何をすることもなく、トイレに行きたければ勝手に行き、シャワーを浴びたければ、予約表に事前に書き込めば、シャワー室を30分使える
「シャワー室、こんなに病室があるのに、誰も使わないんだねぇ…」なんて、ものすごく簡単に考えていた自分がいた
その理由は、この後の手術で身にしみて解ることになる
あぁ、表紙の写真は、自分の入院したところが大学病院だったために、なんとなく
「○○先生の総回診のお時間です!」
なんてのは、うちの病院にはありませんでした…
ただ、食事
「糖尿病患者さんのと同じにさせてもらいますね」とは聞いていたが、これほどとは…
写真を捨ててしまって申し訳ないのだけど、文章だけで想像してほしい
・大前提として、1日の総カロリー量は1600カロリー、総塩分量は6グラムという大前提
・米飯(200グラム)
・汁物(2口3口分程度)
・何かの魚にトマトと玉ねぎのソースを和えたもの
・ブロッコリーの茹でたもの
・酢の物(わかめとキュウリ)
こんな感じだ
入院当初の自分にとって、何が一番辛かったかと言えば、この食事だ
まずは「酢の物は飯を消費するおかずに非ず」と思っていた自分にとって、唯一のおかずは、魚だけ。それも決して飯に合うとは言い難い。
魚を一口一口大事に食べながら、一緒に米飯を消費する
これも塩味などほとんど感じないのだ。トマトと玉ねぎの味が強い
少し残った分は、お茶で流し込む
これは食事と言うよりも、補給だな。それ以上でもそれ以下でもないのだ…と、自分を納得させて、腹に詰める
夜も21時消灯
正直、眠れるわけもない
廊下を挟んでの個室は、どこもかしこも心電図を表すモニターだけが入口からニョッキリ生えて「ちきこーん、ちきこーん」と、不気味な音だけ立てている
時折そういった物のない部屋があると思うと、老婆がベッドを起こして、ぼうっとしている様だけが見える
怖いのだ。昼間も夜もそんな風景以外何もなく、怖いのだ…
気分を紛らわしに売店という名のコンビニに行ったりはするが、何か買い食いするわけにも行かなければ、そこまで余裕のある経済力もない
結果、何となくミネラルウォーターを数本買って、何となく冷蔵庫に入れてみたり、何となくクロスワードの本を買って、気紛れに時間を潰す
それしかないのだ。やれることに限りがありすぎて、それらしかないのだ…
病院に至るまでの商店街に至る街並みを窓から眺めながら「あっちに行ければ、思いっきり食べられるし、好きにできるのになぁ」と思う以外の自由は、ない。
とにかくひたすらにやることは、たったこれだけ
そして、1日の流れも、綺麗に決まりきっている
・朝7時に叩き起こされて、検温&血圧を測る
・指先を妙な機器で弾かれて、そこから血が出るので、血糖値を計られる
・血糖値が200を越えていると、食事前にインシュリン注射を打つ看護師さんが来て、打たれる
・朝食
昼は同じようなことを、11時頃からやられる。昼食は12時
夜は17時くらいから同じことをやられて、夕食は18時から
夜になって、みんなが寝静まった22時30分から、お気に入りのYouTuberさんの放送をこっそり聞く
ただ、これだけなのだ
これが数日繰り返されて、最初の地獄に突入する
造影剤の投入…だ
これが地獄への入口だった
そう「入口」に過ぎなかった
あなたはここから先はゲストじゃないからね?色々覚悟をしてもらうよ?
それを叩き込まれる第一段階だった…
もし、気が向いたなら…