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ため息191:「赤ちょうちん」は通じない

西欧以外の国でいち早く欧米の技術を導入し、経済発展を遂げた日本は経済、技術の面ではすでに国際的である。優れた製品を世界に輸出し、海外に拠点を持ち、旅行者は世界を巡り歩いている。経済にとどまらず、文化の面でも中国の漢字からはじまり世界中からあらゆるものを受け入れ、ローカライズしている。
しかし、外国文化を積極的に受け入れる日本人が外国人に対しては壁をつくり、かなりのコンプレックスを持っている。逆に欧米人にとって、他の国の人が入ってくることについては寛容だが、文化に対しては排他的である。

日本人のアイデンティティ:日本人の不思議な国際性
欧米人のアイデンティティは本人の持っている思想・文化なのだから、異なった文化を持つ者を仲間とは感じない。欧米人は自由に外国人と付き合いをしているが、なかなか仲間意識にまでは発展しない。

一方、日本人のアイデンティティは文化よりも場所と人間関係にある。「同じ屋根の下、同じ釜の飯、同期の桜」という言葉の中に、日本人のある意味で欧米社会より外国人に寛容な側面を垣間見ることができる。
「赤ちょうちん」の魅力という。職場のそば、自宅の近所の赤ちょうちんでは、国籍は問題にならない、同じ酒を一緒に飲むという積み重ねが仲間意識を育むのである。そして「以心伝心や腹芸」という日本のお家芸を、実はこんな所で学んでいる。

国際化
外国文化は言葉の文化であり、整然と議論し自己主張できる日本人が尊敬される。外資では「赤ちょうちん」は通じない。「赤ちょうちん」で出世してきたローカルな日本人ビジネスエリートは、外国人や外資で育った日本人と仕事をするときは、「ことば」の文化に気をつけなくてはいけない。

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