称賛は死者に、嘲笑は生者に
ニーチェは、『ツァラトゥストラ』において、「 偶然とは創造性の源だから、それを妨げてははいけない」と語り、クランボルツは「キャリアの80%は、偶然の出来事に支配されている」と計画された偶発性理論を提唱しています。
偶然の積み重ねが必然になると言えます。
数年前にAmazonで、アメリカの小説、チャールズ・バクスターの『ハーモニー』を頼んだことがありました。
届いたのは『ハーモニー』(伊藤計劃)でした。注文間違いです。
これも何かの縁だと思い、そのまま読みました。
これが面白い、もっけの幸いです。まさに偶然の出会い。
そのつながりで『虐殺器官』(伊藤計劃)も読みました。
どちらもSFの傑作と、いっても過言ではありません。
しかし、残念ながら、伊藤計劃先生の作品は代表作二作、主な著作二作、以上と、なります。
34歳のときに、肺癌で亡くなられているからです。
本書『屍者の帝国』(伊藤計劃、円城塔)は、伊藤先生の絶筆を円城先生が完成させました。
「歴史改変」作品であり、実在の人物も多く登場します。
屍者復活の技術が普及した世界。屍者を労働力として受容する着想素晴らしいです。SFの醍醐味でしょうか。
文庫のあとがき、円城先生の「称賛は死者に、嘲笑は生者に」胸を打ちます。
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