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夜、本を読み返す。

志賀直哉、まだ読み終わらず。情景描写がしっかりして詩的で好きででも物語的には欠けるものが多く、盛り上がってきたなと思ったら肩透かしを喰らうと言う短編です。これはどれもとても短いので仕方ないかな。

情景描写が好きすぎるのでそこを楽しむものなのかしら。植物の名前がよく出てくる。
特に良かったのは『矢島柳堂』湯宿の場面と、鷭の描写が良かった。

温泉行きたいと強く思いました。何もしないでふやけるまで浸かりたい気持ち。
志賀直哉という人の本を読んだ後は、しんと静かな気持ちになって、もしくはゾッとした気持ちになって、書こうという気がすべてごっそり持っていかれる気がします。太宰治や芥川龍之介、村上春樹は読んだ後『なんでも良いから感想でもなんでも書きたい!』てなるのに。

あともう少しで読み終わり。
ちくま日本文学の文庫本は意外と持ち運びやすく良いことがわかったので、巻末を見て次は何にしようかしらと考えています。
描写が好きと言えば、上林曉の文章が好きです。
『星を撒いた街』 というタイトルの本なのだけど、これの中の『花の精』は絶品です。
志賀直哉はともかく、こちらは機会があったら読んで欲しい。小さな出版社の本だから、図書館にあるかわからないけど。


後半にある『和日庵』には棟方志功のことが少しだけ出てきます。
上林暁は雑誌、改造にも関わっていたんだそう。志賀直哉、柳宗悦とも続く縁だけれど、それとはまた関係なくとても良い作家さん。そこまで有名!て感じでもないけれどそれを踏まえてもあまりあるほど良いです。

夏葉社という出版社の本は、美しくてあけると宝石箱のような文章があって、こういうものが書きたいんだと思ったことを今思い出しました。
今送ってるこの走り書きみたいなものを、いつかちゃんと文章にして、印刷してみたい。
熱くお勧めしてしまった。
そして前もお勧めしてたらごめん。

『驚いたことには、今ガソリン・カアが走ってゆく前方は、全て一面、月見草の原なのである。右からも左からも、前方からも、三方から月見草の花が顔を出したかと思うと、火にいる虫のように、レッドライトの光に吸われて、後へ消えてゆくのである。それはまるで花の天国のようであった。毎夜毎夜、この花のなかを運転しながら、運転手は何を考えるだろうか?うっかり気を取られていると、花の中へ脱線し兼ねないだろう。』

花の精 上林曉

久しぶりに読み返した。おやすみなさい。

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