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フェルミ推定の計算を早める考え方【ケース面接対策の修行Ⅱ】

拙者はケース侍田中。

日々、ケース面接対策のことを考え、人々にケース的思考の素晴らしさをどう伝えたら良い
かを考えている男だ。

ある日大学の後輩、小次郎君から連絡があり、聞けば JTC に辟易し、戦略コンサルに転職したいという。そのためにケース面接対策を依頼された拙者は...。

田中の新しい挑戦が始まる...!

ーーーーーーーー

小次郎「田中さん、実は相談があって」

田中「どうしたの?」

小次郎「フェルミ推定で思考時間内(3~5分)に計算が間に合わないことが多いんですよね…」

田中「なるほど。どうやって計算してるの?」

小次郎「うーん、説明しようとすると、よく分からないです」

田中「OK。じゃあ、フェルミ推定を解きながら、小次郎君がどうやって計算しているか把握して改善していこう。
では、家庭用エアコンの市場規模を5分間でトライしてみて」

小次郎君「OKです!楽勝ですよ」

――――
(5分後)

田中「どんな感じかな?」

小次郎君「まだ、終わってません…」

田中「出来たところまででいいから教えてくれる。算定式はどうしたの?」

小次郎君「はい、算定式としては、
販売数量/年×販売単価、に分けて計算しました。

販売数量/年は更にブレイクダウンし計算しました。

家庭用エアコンの市場規模=
販売数量/年(➀世帯数×➁エアコン設置割合×➂エアコン設置台数/世帯÷➃買替年数)
×➄販売価格
としています。

そして、単身世帯と複数世帯で“➂エアコン設置台数/世帯“が異なる考え、セグメントを分け考えました。」

田中「算定式とセグメント分けはいい感じじゃないか!そこから数字はどう置いたの?」

小次郎君「はい、まず単身世帯の販売数量/年から説明していきます。
“➀世帯数”は、人口1.2億人として、人口を基に世帯数を求めようとしました。
でも、単身世帯数と複数世帯数の割合が分からなくて…
悩んでフリーズしました」

田中「なるほど。
確かに、世帯数を0から思考時間で出そうとすると時間が苦しくなるね。
世帯数は事前に覚えておくべき数字だよ。
世帯数は5,000万世帯となっていて。単身世帯と複数世帯の比率は3対7になるよ。
つまりは、単身世帯1,500万世帯(5,000万世帯×30%)、複数世帯3,500万世帯(5,000万世帯×70%)になるよ。」

★ポイント
フェルミ“推定”なので数字は仮定でよい。
けれども、本番当日で全ての因数の数字を0から考えると間に合わない。
例えば、人口、世帯数、平均所得といった、フェルミ推定でよく使い統計で出ている数字は覚えよう。本番で悩まない様にして、思考時間は他に割けるようにするのがポイントだ。

小次郎君「はい、有難うございます!」

田中「では、世帯数を5,000万世帯(単身世帯1,500万世帯、複数世帯3,500万世帯)として考えを進めよう。他の数字はどう置いたの?」

小次郎君「“➀世帯数”の他の販売数量/年の因数は、➁エアコン設置割合100%、➂エアコン設置台数/世帯1台、➃買替年数8年としました。
それぞれの理由はxx(省略)。
そして、➄販売価格は68,250円にしました。
理由はちょうど先月エアコンを買ったのですが、その金額を覚えていたからです」

田中「なるほど。68,250円だと、とても計算しにくくない?」

小次郎君「そうなんです!とても時間がかかりました。でも、正確な数字の方がよいと思うんです!」

★ポイント
確かに正確な数字を使うのはいいが、68,250円は明らかに計算が複雑になる。あくまで“推定”なので、正確さに拘り過ぎてはいけない。
実際、68,250円が全てのエアコンの平均販売価格ではないので正確とは言えない。
今回だと、70,000円、もしくは65,000円に丸めても、数字の桁感はずれない。
計算しやすいように数字を丸めていこう。

田中「なるほど。
では、➄販売価格を70,000円と仮定して再計算してみて」

小次郎君「はい!」

――――(1分後) ――――

田中「どうかな?」

小次郎君「まだ出来ないです…」

田中「どうやって計算してるか教えてくれる?」

小次郎君「はい、単身世帯の販売数量は、

➀世帯数:1500万世帯×➁エアコン設置割合:100%×➂エアコン設置台数/世帯1台÷➃耐用年数:8年
としています。

➀~➂の計算で出る数字は家庭用エアコンが現在設置されている台数の意味合いになり1,500万台(1,500万世帯×100%×1台)と直ぐ計算できました。
ですが、1,500万台を、“➃耐用年数8年”で割ると、1,500万台÷8年になり上手く割り切れず。手こずっていました…」

田中「なるほど。因数を置く数値も丸めたように、算定していく数値も丸めていくのがポイントだよ」

★ポイント
途中の算定も丸めていこう。
例えば1,500万台÷8年だと、設置台数か耐用年数を、割り切りやすいようにするのに丸めていこう。
設置台数1,500万台を耐用年数8年で割りきりやすく近い数字で置くとすれば1,600万台すればよい。すると、1,600万世帯÷8年=200万世帯となる。
耐用年数8年から遠くない数字で割り切りやすい数字にする時には、10年と置けばよいだろう。すると、1,500万台÷10年=150万台となる。
算定しやすい数字を初めから置くのが計算を早めるポイントだ。
フェルミ推定を積み重ねれば、計算のしやすさを見込んで数字を置けるようになる。

小次郎君「はい、有難うございます!」

田中「では、単身世帯の家庭用エアコンの販売数量は150万台とすると、家庭用エアコンの市場規模はどうなるかな?」

小次郎君「はい。150万台(販売数量/年)×8万円(販売価格)になります。
計算すると、えーと、桁数がいくら増えるんだ?」

田中「万×万=億となることは、知ってる?」

小次郎君「なんですか、それ!?」

★ポイント
万×万=億は覚えて置くと計算が早くなる。
例えば、今回の例だと150万×8万=1,200(150×80)億(万×万)円と計算出来る。
他にも、仮に1,000万×8千といった計算をする場合に、100万(1,000万÷10)×8万(8,000万×10)=800(100×8)億(万×万)円と直ぐに計算出来る。
万×万は便利なので覚えて置こう。ついでに、億×万=兆になるのも覚えよう。

小次郎君「なるほど、そうすると計算が早いですね。
改めて計算すると、販売数量/年150万台(➀世帯数1,500万世帯×➁エアコン設置割合100%×➂エアコン設置台数/世帯÷➃買替年数10年)×➄販売価格7万円≒1,000億円(※正確には150万台×7万=1030億円だが、1,000億円とし丸めている)できそうです!」

田中「OK!
では、もう一つの複数世帯のセグメントを最後に求めてみよう。
複数世帯では、どんな数字を置こうか?」

小次郎君「はい、それでは複数世帯は、

家庭用エアコン市場規模(複数世帯)=
販売数量/年(➀世帯数3,500万世帯×➁エアコン設置割合100%×➂エアコン設置台数/世帯所有2.5台÷➃買替年数10年)
×➄販売価格15万円

とします。」

田中「OK、その仮定で一旦計算してみくれる?」

―――――(1分後)――――

田中「どうなった?」

小次郎君「あと、もう少しで出来ます(汗)」

田中「途中まででいいから、どうやって計算してるか教えてくれる?」

小次郎君「はい、販売数量/年から置いた数字順に
➀世帯数3,500万世帯×➁エアコン設置割合100%×…
と計算していきました」

田中「なるほど。
さっき出した単身世帯の家庭用エアコンの市場規模1,000億円からは考えてみなかった?」

小次郎君「いえ、全く使ってないです!
単身世帯と複数世帯は違うじゃないですか!」

★ポイント
セグメントで分けて置いた数字が異なるが算定式は同じだと、初めに求めたセグメントでの算定結果を基に残りのセグメントを計算すると早い。
今回のケースだと、単身世帯と複数世帯算定式は同じとなり、単身世帯の算定結果1,000億円を用いて、単身世帯と複数世帯の各因数で、どの程度数字が違うか?から計算することになる。
具体的には、次のイメージだ。

〈算定の考え方〉
・➀世帯数:単身世帯1,500万世帯⇔複数世帯3,500万世帯
 →2倍超複数世帯が多い
 →1,000億円(単身世帯の算定結果)×2倍=2,000億円
・➁エアコン設置割合:単身世帯100%⇔複数世帯100%
 →同じ
 →2,000億円は変わらず
・➂エアコン設置台数/世帯:単身世帯1台⇔複数世帯2.5台
 →複数世帯の方が2.5倍多い
 →2,000億円×2.5倍=5,000億円
・➃耐用年数:単身世帯8年⇔複数世帯8年
 →同じ
 →5,000億円は変わらず
・➄販売価格:単身世帯7万円⇔複数世帯15万円
 →複数世帯の方が2倍高い
 →5,000億円×2倍=1兆円

小次郎君「こうやって計算スピードが上げるんですね!」

田中「うん、計算スピードは回数を重ねれば堅実に伸びるから、しっかりやっていこう。
フェルミ推定は、計算だけでなく数字の検証や他のアプローチも問われる。
なので、計算スピードを上げて、他の検討事項に思考時間を取れるかが大事になってくるよ」

小次郎君「はい、がんばります!」


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