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いつも笑顔の「ばあちゃん」が泣いた日。結婚できたのは、ばあちゃんのおかげです。

3年前の冬、
36歳の僕は、都内から故郷へと向かっていた。

入院中の祖母に会うためだ。
祖母の死期が、近づいていた。

僕の隣には、彼女がいた。
彼女とは、付き合って、まだ1か月。

それでも彼女を、どうしても祖母に会わせたかった。



僕は、おばあちゃん子だった。

小学校が終わると帰るのは、ばあちゃんの家。
共働きの両親の仕事が終わるまで、いつも、ばあちゃんと遊んでいた。

相撲を一緒に見て、ばあちゃんのつけた梅干しを食べ、どこで売っているのかわからない、めちゃくちゃ硬い謎のお菓子を食べた。

謎の魚の煮付けも出てきたが、それは食べなかった。

「死なねぇから食べな!アハハハハ!」

僕は、いつも笑顔の「明るいばあちゃん」が、大好きだった。


そんなばあちゃんが、僕の目の前で、泣いたことがある。

「お前はいつ結婚するんだ。それが私の最後の楽しみなんだよ。」

ボロボロと泣いていた。


その日、家族から、ばあちゃんが、病に蝕まれていると知らされた。

僕と彼女が、病院に向かう半年前のことだった。


それまで結婚は、できたらいいか・・・。ぐらいの考えだった。

そんな考えだったから、特に取り柄もない僕は、36歳になっても、結婚できていなかったのだろう。

「ばあちゃんを喜ばせたい・・・安心させたい・・・」



4か月後、転機が訪れた。

大学時代に、割と仲の良かった同い年の女性と、偶然、街で再開した。

チャンスの神様がやってきた。

「今度、ご飯行こう!」

これまでの僕だったら、絶対に誘ってはいない。

ばあちゃんが、後押ししてくれた。

僕は、チャンスの神様の前髪を掴み、その女性は、彼女になった。



付き合ってから、1か月後。
ばあちゃんの容態が悪化した。

病院には、親族が集合している。

それでも彼女は、ばあちゃんの元へ一緒に行ってほしいという僕の願いを、受け入れてくれた。

「ばあちゃん、婚約者だよ。結婚するよ。」

その瞬間、ばあちゃんは、大粒の涙を流した。

ボロボロボロボロ、泣いていた。

「よかったねぇ。本当によかったねぇ。」
「優しそうな、いいお嫁さんだねぇ。」


*****


ばあちゃん、ありがとう。


*****


今、僕の幸せがあるのは、ばあちゃんのおかげです。

妻にも、本当に感謝しています。

付き合ってすぐに、親族が集合している場所にいくのは大変だったでしょう。いきなり婚約者だと紹介されて、びっくりしたでしょう。


僕は、妻を幸せにしたいと思う。


〜完〜

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