アドバイスしないコンサルタントの仕事術
あなたはコンサルタントに相談する側ですか?それともコンサルタントとして相談を受ける側ですか?
今回は『プロの思考整理術』のブックレビューです。
著者は20年以上のキャリアをもつコンサルタントです。彼は質問と対話を通じてクライアントの思考整理のお手伝いをし、気付きを与えて自発的な行動を促すというスタイルです。アドバイスについては否定的でさえあります。
相談には乗るけどアドバイスはしない。
そんな著者の仕事術を紐解いていきましょう。
一言まとめ
いきなりまとめてしまうと、コーチングメソッドはコンサルティングサービスに転用可能であることを説明した一冊です。
ここからは各章で気になった箇所を私の解釈を加えながら解説していきます。
人はみな、アドバイスを求めていない
著者はアドバイスをしない理由を上記の様に表現しています。これには私も同感です。
友人から悩み相談を受けたとき、親身になってアドバイスしたけど受け入れられなかったor実行されなかったという経験はあなたにもあるのではないでしょうか?
もしくは相談したときにあれやこれやと到底受け入れられないアドバイスをしてくる友人に辟易したり。
この現象はビジネスの場でも同じだと主張しています。
ただ、プライベートな相談毎であれば黙って聞いてあげるだけでも良いかも知れませんが、ビジネス上の相談事では対価に見合う価値を提供しなければなりません。
その価値こそが、『思考を整理し、気付きを与え、行動を起こさせる』ことです。
思考整理の前に
この章は私の解釈がメインになります。
先ず、クライアントは自分たちのお困りごとの本質が何なのかを理解しているとは限りません。ネットでよく見かけるのは、『DXを進めたいけど何から手を付けたらいいか分からない』とかでしょうか。
次に人は感情が動かなければ行動を起こさないということです。正論を話しても感情で拒絶されていたら、それはアドバイスではなく説教です。行動には繋がりません。
最後に、クライアントは本音を語り始めるまでに時間がかかります。初対面やそれに近い人に自分や自社の弱点をさらすというのは、非常にハードルが高いものです。
思考整理の4ステップ
著者のテンプレートの4ステップを紹介します。
タイトルを決める
課題設定ですね。最初は本質的な課題ではない可能性がありますが、これが無いと始まらないので取り急ぎ決めてから会話を始めます。
半分くらいのケースで途中でタイトルが変わるそうです。現状を知る
本書では触れられていませんがSWOT分析や3Cなどの手法が使われるのだと思います。理想を描く
至らない点を改善する(=自分の非を認める)よりも、動機付けになりやすいように目指すべき理想を描くのだそうです。条件を探す
現状から理想に近づけるために必要な能力・行動・環境を探します。
これらは確かにシンプルで、明日からでも使えそうなテクニックです。
思考整理の「見える化」
最後に本書でまとめていた図解のスキルを5つ紹介します。
このスキルはオンライン環境で仕事が進む昨今において必須のスキルだと考えています。
細かい説明は省きますが本書では事例を紹介しながら丁寧に解説されています。
スケジュールを表したい時はガントチャート
人間関係を表したい時は関係図
話があちこち飛ぶときはマインドマップ
盲点を見つけたい時はマトリックス
全体の関係性を知りたい時は階層化ピラミッド
おわりに
個人の経験によるところが大きくて万人のための最適解ではないというのが私の感想ですが、知識の幅を広げてくれた一冊なので紹介させて頂きました。
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