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影響力の武器③社会的証明(social proof)

第三の影響力は『社会的証明(social proof)』です。早速説明に入りましょう。

社会的証明とは

要するにみんなが持っているから良いモノとかみんながやってるから良いコトといった『思い込み』です。そして人はそれらを買ってしまったり、やってみたりします。確かにみんなと一緒という状況に安心感を覚えることは誰しもあると思います。
そしてその逆も然りで、誰もが避けてるからやってはいけないコトというのもあります。窃盗や傷害とった法律で禁じられているコトから、成人病を引き起こす可能性のある不摂生とか。

ビジネスで広く使われている

では実際にどんなシーンでこの影響力は使われているのでしょうか。
キーワードだけ並べると『行列のできる店』、『今売れてます広告』、『ステマ(口コミ)』、そして『サクラ』です。
人々が購買行動を起こすとき、精通していない商品やサービスだった場合はスペックやサービス内容を見ても優劣の判断は難しいです。正直なところ不安だと思います。そこでこれらに頼ったりしないでしょうか。つまりこの影響力は既に広く使われていることが分かります。
さらに一歩進むと同調圧力として使われることもあります。Apple製品のファンが集まれば最新機種を持たねばならない気になるし、子供の通う学校の子達がポケモンをやっていれば自分の子供にも与えなければ仲間外れになるという心配をしてしまいます。なので企業は積極的にユーザ会とかオフ会とかやるのでしょう。

緊急時の無関心

私が本書で最も関心を寄せたのがこの『緊急時の無関心』という部分です。
私はいくつかのスキューバダイビングの資格を持っているのですが、その中のレスキューの資格の講習を受けているときでした。講師は『要救護者がいて自分一人では十分な手当てが出来ないときは助けを求めなさい。そしてその時は必ず特定の誰かを指名して具体的なアクションを指示しなさい。』と言っていました。この時は訓練を受けていない人は何をすれば良いか分からないからだと思っていたのですが実は違ったんです。
人は『自分以外の人がいる時』や『緊急時か否かの判断がつかない時』には救護活動に消極的、つまり緊急時であっても無関心になってしまうのだそうです。例えば夏祭りの帰り道、駅前で倒れている人を発見した時に誰もが無関心だった場合はきっと私も無関心になると思います。きっとあの人は酔っぱらって寝ているだけだろう、そうじゃなかったとしても他の誰かが助けすはずだと考えて。

防衛困難

この影響力の厄介な点は『通常は正しく作用する』という事です。行列のできるラーメン屋はやっぱりおいしいし、お酒の飲みすぎは健康に良くないのです。
さらにみんなの和を乱して目立つことを社会は良しとしません。
そういった経験から『防衛行動を取らない』ことが多いのです。

私ならこう使う

影響力はとてもシンプルです。
もし私の会社の商品が大きなシェアを持っていたり、SNSで多くのフォロワーがいたら直ぐに使うことができます。ただ、残念ながら現状はそうではないので、多くの人に対してこの影響力を行使することはできません。
しかし、特定のクライアントや個人であれば前提条件を整えることでこの影響力を直接的に使うことができます。
社会的証明≒みんなの評価なので、特定のクライアントや個人にとっての『みんな』を『私』に置き換えることができればよいのです。そのためには彼らに質の高いインプットを高頻度で続け、困ったときは自分で社会的証明を探すよりも私に聞く方が効率的だと認識させるのです。その結果、私というフィルタを通した情報を社会的証明として使えるようになります。

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