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なぜ日本企業では、社員がキャリア発達しにくいのか?意味と課題は?

そもそもキャリア発達ってなに?

キャリア発達とは、ごく簡単に言うと、「自身のキャリア上の課題を達成して、次の段階に進むこと」を指します。

肉体の成長のように段々に、リニアに変化していくものではありません。

何らかの経験と、自分なりの解釈を通し、乗り越えるモノで、いわば階段のように次のステップに進むものです。よく能力開発と同じに見られますが、徐々に上がっていく能力や、スキルとは別物です。

自身のライフキャリア、取り巻く社会を豊かにするために大事な視点だと思います。例えが最適でないかもしれませんが、ドラクエやポケモンゴーで急遽レベルがあがる、進化するイメージでしょうか。。

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エリクソンの発達段階ってなに?

有名なのは、発達心理学者・エリクソン氏の発達段階でしょうか?(職業キャリアというよりは、人生全般における発達です)高校の教科書で、アイデンティティ、モラトラリアムなど聞いたことがあるのではないでしょうか?

エリクソンさんは、8段階のキャリア上の課題を設定しました。その5段階目(青年期の課題)が有名ですね。

同一性拡散 対 同一性 という課題があり、それを乗り越えると「アイデンティティ」(この自分で良い!という自信)を得るというものです。

この獲得は簡単ではなく、この獲得期間をモラトラリアム(猶予期間)と呼ぶわけですね。

しかし、すべての大人がアイデンティティを獲得しているかといえば、疑問です。昨今の劇的な外部環境の変化により、アイデンティティを構築できない方、突如失う方もいるからです。アイデンティティの維持も現代では、課題かもしれません。

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スーパーのキャリア発達5段階

ドナルド・スーパー教授は、

キャリア発達段階を、成長期、探索期、確立期、維持期、下降期に分けました。これらは、課題を乗り越えるというより、年齢層ごとにたどり着いているべき指標、プロセスとも言えます。

例えば、維持期は、45歳からで、44歳までは探索期としてます。つまり、44歳までは、まだ、自身の可能性を探して、色々やってみて良いとも捉えられます。そうなると、日本の35歳、40歳転職限界説も必ずしも正しくないと言えますね。

ロバート・キーガン教授の成人発達段階

昨今、大きく注目されているロバート・キーガン教授の成人発達理論を、簡単に紹介させて頂きます。

ざっくり言うと、成人になってもキャリア発達は必要で、大きく5段階にレベル分けされています。

1段階目は具体的思考段階(子供)、2段階目は利己主義(他者を道具的に利用、自分優先で行動)、3段階目は他人依存(組織に従う)、4段階目は自己主導・自律段階(自分の軸を持つ)、5段階目は自己変容段階(多様な価値観を取り入れ、他者の成長に関心)で構成されるようです。

実は、10パーセントの人間は、2段階目に、70パーセントの人間は、3段階目に所属しているとのこと。4段階目(20パーセント)以上に進むのはきわめて難しいことがわかります。5段階目にいるのは約1パーセントだそうです。

組織の長なら、少なくとも4段階目以上であるべきでしょう。しかし、残念なのは、2段階目にいる利己主義的な人(3段階目以上に進めない)でも、ビジネスの成果が短期的に出てしまう気合い中心の人、或いは上の人間関係がうまい人は、組織の長になってしまうという現実があります。

企業や組織における昇格者は、多くの場合、能力主義や成果主義(知識・経験ある人、数字が出せる人)、時には、上長に気に入られたという人間関係で決まっていくことも多いかと思います。しかし、役職者をキャリア発達度合いという観点で見ることは、多くないでしょう。キャリア発達度合というのは、大事な指標であると思うのですが、残念ながら、まだまだ組織では、見過ごされている観点だと思います。

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キャリア発達しにくくなった日本の社会人

私は現代の日本において、上記のようなキャリア発達がしにくくなったのではないかと感じます。

一般にキャリア上の発達を達成するためには、新しい役割を担い、課題(時に修羅場)を乗り越える必要があると言われてます。

学校生活であれば、自動的に学年が上がっていき、委員会・部活などの重役を任されたり、後輩を指導したりする機会を得たわけですが(キャリア発達できるようになっている)、社会人になったら自動的に役割、部下は与えられません。

特に、昨今の厳しいグローバル競争の時代、課長の席を得る事さえ難関です。加えて日本では、決定的な事情があります。世界に類を見ない少子高齢化です。若年層の人口が減り、後輩、部下を得るということ自体、難しくなりました。

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聞くところ、高度成長期は、どんどん後輩が入ってきて、入社5-6年目の社員でも数十人の後輩・部下をもつということが普通だったようです。後輩・部下をリードする立場の役割を与えられ、その重責を乗り越えることで、多くの社員がキャリア成長できたのだと言われています。

今の時代は、40代になっても役職なし、「仕事は、実は若いときとそこまで変わっていないんです」という人も多いようです。課長という名前はついていても、部下なし(いても1人)、プレイング実務マネージャーの方も多いのではないでしょうか?そのような方々は、キャリア成長したくても、なかなかできないのが現実です。自分で外にその可能性を見つけにいく以外ないのです。(パラキャリが推奨される所以です)

そのことに気付いている20代、30代の若い世代は、まさに副業、複業などのパラレルワークに興味を持ち、自分で仲間を集めるなど、キャリア成長の機会を外に見出していると言えるでしょう。

キャリア発達という観点について、書いてみましたが、皆様のキャリア形成のヒントになれば幸いです。組織の中で、機会があるなら、キャリア発達の機会を得るもよし、無いならパラレルキャリアに挑戦するのも良いかもしれません。

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