ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第50わ「永遠の躊躇」

(承前)

いや、知らない女に急に抱き着いてくれと頼まれても困る。そもそも、その胸から生えた杭が何なのか説明してほしい。

「これは、パートナーの意に沿わない行動を取ったハントマンに対する……ペナルティです。呪いのようなものと思ってください」

俺の意に反して、俺を守って、俺のせいで苦しんでいるというのか。胸に熱いものが込み上げて来そうになったが、一瞬で冷静さが戻って来る。俺は❝パートナー❞とやらに、なりたくてなったわけではない。

「分かってます。徹頭徹尾、私がやりたくてやっていることですから。チュートリアルで聞きましたよね?貴方の血は特別なんです」

問答している間に人間狩りが這い上がって来た。今度こそ手詰まり。ここで死ぬのは構わないが、この吸血女と心中するのは面白くない。俺の命令が必要なんだな?俺を放っておいて一人で逃げろ。これは命令だ。

「それは聞けません」

また杭が生えてきた。今度は右肩からだ。

(続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?