ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第110わ「チは❝地に満ちよ❞のチ」
魔女の氷像は死んだように動かない。何も語らない。……自分が何故こんな場所にいるのか?こいつらのは正体は何なのか?どうして戦っているのか?自分は何故パンツ一丁で戦っていたのか?分からないことばかりだったが、少なくとも急場は凌いだと思っていいのだろうか。
「ダンナ!お怪我はありませんか!?いくらなんでもニンゲンがハントマンと格闘するなんて無茶苦茶ですよ……!」
見るからに寒そうな青い宝石を先端に付けた恐ろしい杖……現在進行形で肌を刺す冷気を周囲にまき散らしている……を放り投げて白いシャツ(それともブラウスと言うのか?)の女の子がこちらに向き直る。名前も顔も知らない相手だが、何処かで会ったことぐらいはあるのだろうか。
「……えい」
懐から何かの小瓶を取り出して僕に投げつけてきた。中身を浴びた僕は、いや、俺は正気に戻った!ついでに記憶も戻った。そんな便利な道具があるなら勿体ぶらずに使って欲しかったのだが。
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