ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第22わ「生存ボーナス」
(承前)
手早くシャワーを済ませて居間に向かった俺を待ち受けていたのはテーブルの上に、これでもかと並べられた料理の世界地図であった。
ロシアのピロシキ。モロッコのクスクス。
「待っていましたよ、ダンナ!さぁさぁ!冷めないうちに!」
何なんだ一体。どういう状況だ。
この料理の山は如何にして調達せしめたのか。
「この料理ですか?私のポケットマネーで買ったものですけど?さ、遠慮しないで!食べたいものを食べたいだけ食べて良いのですよ!」
部屋の照明がいつもよりも明るく感じられる。それが一層、俺の心にうすら寒さを感じさせる。ファンファーレも紙吹雪も無いが、ちょっとした祝賀会ムードを演出しようとして───空回りしているのが分かる。横断幕には「予選突破おめでとう」の文字。
「説明しますね。予選というのは❝ハントマンを倒せるハントマン❞であることを証明する戦いのことで、一人以上のハントマンを撃破すれば合格です」
お前の祝賀会かよ。
(続く)
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