ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第93わ「気炎万丈/才気煥発」
「嗚呼!こうしてはいられません!早く同胞の血を浴びたい!あわよくばニンゲンの血を啜りたい!!」
相棒がブリッジの態勢で叫びながら部屋を這い回っている。大声は近所迷惑だからやめろ。俺はともかく両親は出張で家を空けている設定だろうが。怪しまれたらどうする。やめろ!俺にスープレックスをかけようとするな!
「そうは言っても、今の私は誰かの血を見るまでは収まりがつきそうにありません……!」
息を荒くした相棒に背後から抱きすくめられている。率直に言って❝ゲーム❞が始まって以来の大ピンチだ。ここで対応を誤れば本選に挑む前に俺は死んでしまう。
「日付が変わって戦闘パートが始まるまでは時間がありますね……よし!ちょっと適当なニンゲンを見繕ってリフレッシュして来ます!」
リフレッシュって何だろう。およそロクな事ではあるまい。しかし問い質すのも危険だ。俺に累が及びかねない。我が身が可愛さに俺は家を飛び出す相棒を見送った。
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