人形狩り人形と廃業の危機(#22)
(承前)
「大丈夫か!?❝呪い返し❞は受けなかったのか!?」
呪い人形(つまり、現世を彷徨う魂の器だ)が二度目の死を迎える間際、最後の力を振り絞って猛反撃に出ることがある。それも物理的な攻撃ではなく、体内に貯め込んだ❝瘴気❞とでも言うべきもの一気に浴びせかけて───、対峙した人間の心身に深刻なダメージを与えることもある、らしい。「らしい」だなんて他人事みたいに表現をしたのは、理由がある。僕自身がソレを喰らった事がないからだ。人形の呪いを免れる為に、人形狩りを生業とするケンペレン家は機械人形の❝トルコ人❞を運用しているのだから。
「……今のところは別に何ともないけど」
相棒のオートマトンが両腕の武装を解除して、僕の体に異常が無いか調べている。
「フィジカルに異常は見受けられない。だがメンタルはどうだ?」
精神面。自分の正気を自分で証明することは難しい。今はもう、戦いへの恐怖も敵への憎しみも勝利の高揚も既に無い。
(続く)
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