プロト版ハントマン・ヴァーサス・マンハント【血戰!帝都の吸血鬼伝説】(#2)
この女性は何と言った?❝再来者❞を指してケンゾクと言ったのは聞き間違いではあるまい。恐らくは家族、一族、そのようなものであろう。要は、こいつも人間を襲う怪物だと言うことだろうか。「待ってくれたまえ。私は人間を襲ったりはしないよ。少し血液を分けて欲しいだけなのだ。無論、タダでとは言わない」気が付けば、高遠少年は喫茶店のテーブルに吸血女と向かい合って座っていた。性質の悪い詐術に嵌められたような思いが拭えない。それにしても、この店の内装には見覚えがある。父親が航海に出る前日に、そして妹が全寮制の学校へ入れられる前日に、母親に連れられてパンケーキを食べさせてもらった記憶が甦る。もう何か月も前に店じまいしたものと思っていたが。「暴徒から店を守るために普段はシャッターを閉めているだけさ」吸血女は事もなげに言う。「暴徒ですって?」「そうさ、❝再来者❞から逃れて転がり込んでくるような連中は立派な暴徒だね」
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