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ぼくは(狂った)王さま #99

「アラカへのプレゼントというのは、その死体のことか。謀反者とて、その亡骸を玩んで良いなどという道理は無いぞ」

「安心してください。ちゃんと生き返らせてから玩具にするに決まっているでしょう?」

 そう言いながらプリスが取り出したのは、何やら小石が詰まった靴下のようでした。その鈍器でユキエの死体を思い切り打擲すると、あら不思議。其処にあるのは成人した女性の亡骸ではなく、生まれたばかりの赤ちゃんの死体があるばかりでした。それを見てアラカは、まだ王さまが王子さまだった頃にダンジョンで拾い集めていた財貨のことを思い出しました。靴下に詰められていたのは、おそらく「若返りの石」と呼ばれる、読んで字のごとくの効果のある希少品です。いつか戦いが終わった後で、自分が姉と二人だけで長生きする為に換金もせずにアラカが溜め込んでいたアイテムでしたが「アラカ君が持っていると失くすかもしれませんから私が預かりますよ?」とプリスが言うので、疑いもせずに手渡したことをアラカは今になってすっかり思い出していました。

「あ、赤子……?」

 一方、ダンジョンの財宝もモンスターのことにも詳しくないおひいさまは目の前の現実に、ただただ狼狽えるばかりでした。人知を超えたまほうの力をも更に上回る力の発現を目の当たりにすれば、それも無理からぬことではありました。それからプリスは白まほうの奥義、「回生」の呪文を唱えると、この世に生を受けたばかりの赤ちゃんがそうするように、息を吹き返したばかりのユキエはおぎゃあ、おぎゃあと元気一杯に泣き始めるのでした。

「いいでしょうアラカ君、本物の赤ちゃんですよ。早速これを使っておままごとでもしませんか。私がママで、アラカ君はパパで……」

 そこでプリスはちらりと、たった今、おひいさまの存在に思い至ったと言わんばかりに視線を向けて言いました。

「姑の役でよければおひいさまも仲間に入れてあげていいですよ?」(続く)

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