ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第88わ「只人」
そうか。トラブルは既に解決していたか。私の出る幕は無かったな。
怪物を食う怪物、理不尽な捕食者が瞬く間に姿と声を変じていた。相棒にそっくりだ。……本当に見分ける術が無いぐらいに。怯える相棒に近寄ると肩を掴んで無理矢理に立ち上がらせた。……何だ?何をする気だ?
よく育って美味そうなハントマンだな。
こいつは君を守る為に私を呼んだワケだが。
当然、私に喰われる覚悟は出来ていた筈。そうだな?
相棒は震えながら何度も頷いている。否、そう振る舞うことを強制されているだけだ。そもそも、家畜を守る為に害獣に我が身を投げ出す牧童がいるだろうか?
つまり私は……この子を食べてもいいということにならないか?
やはりそう来たか。どうしてハントマンという連中は、上から下まで食欲で頭が一杯なのだろう。これでは家に押し入った強盗を追い出す為に猛獣を招き入れたようなものである。パートナーとして、ここは毅然とNOと言わねばなるまい。
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